家族

実家の母が一人暮らしで、最近、体調や物忘れが心配になってきました。私は飛行機の距離に住んでいて、すぐには駆けつけられません。何から始めればいいでしょうか。

編集部

遠距離介護は、「親が住んでいる地域の窓口につながること」が最初の一歩になります。そこから、見守りとお金の管理、仕事との両立へと順に整えていくと、慌てずに進められます。

まず、親が住む地域の窓口に連絡する

家族

私の住んでいる地域ではなく、母の地域の窓口に相談するのですか。

編集部

はい。介護保険の申請や相談の窓口は、介護を受ける親がお住まいの市区町村にあります。遠距離介護でも相談できる窓口として、メディカルドックの解説では、地域包括支援センターを「介護が必要になる前から相談できる総合窓口」と紹介しています。電話での相談もでき、帰省したときに親と一緒に訪ねる方法もあります。詳しくは地域包括支援センターとは、介護保険の申請の流れは要介護認定とはをご覧ください。

編集部

介護が必要になった段階で慌てないよう、離れて暮らす家族が早めに把握しておきたいこともあります。同じ解説では、親の意向や経済状況を早めに確認することを勧めており、認知症が進んでからでは確認が難しくなるため、通帳や保険証書の場所なども含めて確認しておくと安心につながるとしています。

帰省したときに確認しておきたいこと

  1. 親がこれからどう暮らしたいか(自宅で暮らし続けたいか、施設入所も視野に入れるか)
  2. かかりつけ医、服用している薬、通帳や保険証書の置き場所
  3. 近所の知り合いや友人、地域の民生委員や町内会の連絡先など、いざというとき連絡できる先
  4. きょうだいなど家族の間での役割分担と、費用の負担の考え方
  5. 親が住む地域の地域包括支援センターの連絡先

遠距離に向いたケアマネジャーを選ぶ

家族

ケアマネジャーとは、どう付き合えばいいですか。

編集部

担当のケアマネジャーは、離れた家族にとって、親の様子を知る大切な窓口になります。メディカルドックの解説は、遠方介護に理解のあるケアマネジャーを選ぶことが重要なポイントとして、「連絡が取りやすく、離れて暮らす家族の状況を理解してくれる方を選ぶようにしましょう。」と述べています。ケアマネジャーが決まったら、電話やメールなど、どの方法なら連絡が取りやすいかを最初に伝えておくと、行き違いが減ります。合わないと感じたときは、ケアマネジャーを変えたいときで手順を整理しています。

離れていても見守りの仕組みをつくる

家族

毎日は様子を見に行けないので、一人でいる間のことが不安です。

編集部

見守りは、複数の方法を組み合わせると安心です。メディカルドックの解説では、電話やビデオ通話で定期的に連絡を取る、近所の方や友人に様子を見てもらえるようお願いする、配食サービスや見守りサービスを活用する、といった方法が挙げられています。

編集部

自治体の制度として、緊急通報システムを設けているところもあります。福岡市の例では、対象は「市内に居住する福岡市の介護保険被保険者で、健康状態・身体状況に不安があり、緊急時における連絡手段の確保が困難な65歳以上のひとり暮らし、またはこれに準ずる人」とされています。胸にかけたペンダントのボタンを押すと受信センターに通報でき、緊急時には消防局や近隣の協力員などに連絡が入る仕組みです。月1回、受信センターから体調を確認する電話もあります。

福岡市の緊急通報システムの例(月額の利用者負担)

  • 介護保険料の所得段階が第1〜3段階: 0円
  • 第4〜15段階: 固定電話型948円、携帯電話型1,145円
  • 申込みには、原則として2名の緊急通報協力員の確保が必要

⚠️ 制度の有無や条件は自治体ごとに違います

緊急通報システムは、すべての自治体にあるわけではなく、対象者・名称・費用・申込みの条件は自治体によって異なります。上記は福岡市の例です。親が住む市区町村で利用できるかどうかは、地域包括支援センターや高齢者福祉の窓口に確認してください。また、本人が見守りを受け入れたがらない場合の工夫は、見守りを嫌がる・拒否するときの対応で整理しています。

お金の管理が心配になったとき

家族

母が通帳の管理や支払いを、ひとりでできなくなるのではないかと心配です。

編集部

判断力に不安が出てきたときの支援として、社会福祉協議会が行う「日常生活自立支援事業」があります。厚生労働省の説明では、「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うもの」とされています。援助の内容には、福祉サービスの利用援助のほか、預金の払い戻し、解約、預け入れの手続など日常生活費の管理(日常的金銭管理)が含まれます。東京都の案内では、これに加えて、年金証書、預貯金の通帳、保険証書などの大切な書類を保管する支援(書類等預かりサービス)も挙げられています。

編集部

ただし、利用できる人には条件があります。対象は、判断能力が不十分な方であると同時に、「本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる方」です。契約の内容を理解することが難しくなっている場合は、成年後見制度など別の仕組みも選択肢になります。制度の違いは成年後見制度とはで整理しています。

⚠️ 窓口は親が住む市町村の社会福祉協議会

厚生労働省は、この事業の相談について「お住まいの市町村の社会福祉協議会でお受けしております」と案内しています。遠距離の場合は、親が住む地域の社会福祉協議会に連絡してください。利用料は、実施主体が定める額を利用者が負担する仕組みです。同じページには参考として、訪問1回あたりの利用料が平均1,200円と記載されていますが、実際の金額は地域によって異なるため、窓口で確認してください。契約締結前の初期相談などの経費や、生活保護を受給している世帯の利用料は無料とされています。

仕事と介護を両立するために

家族

仕事を休んで帰省することが増えそうです。

編集部

介護のための休みを取る制度が、法律で定められています。介護休業と介護休暇の違いや、取得の流れは介護休業・介護休暇とはで整理しています。また、帰省のための交通費は、遠距離介護ならではの出費としてあらかじめ見込んでおきたい項目です。航空会社などが介護の帰省向けに割引運賃を設けている場合がありますが、内容は変更や終了があるため、利用する前に各社の公式案内で最新の条件を確認してください。

どこに相談すればいい?

家族

結局、最初に誰に連絡すればいいでしょうか。

編集部

親が住む地域の地域包括支援センターに、今の様子と、自分が遠方に住んでいることを伝えて相談してください。すでにケアマネジャーがいる場合は、連絡方法を決めておきましょう。お金の管理の不安は、親が住む市町村の社会福祉協議会に相談できます。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 遠方に住んでいる家族でも、親のことを電話で相談できますか?
  2. 親が住む地域で、利用できる見守りサービスや緊急通報システムはありますか?
  3. ケアマネジャーとの連絡は、メールや電話のどちらが取りやすいですか?
  4. 親の金銭管理が心配です。日常生活自立支援事業は利用できますか?
  5. 帰省のタイミングに合わせて、面談や手続きの日程を調整できますか?

まとめ

場面整えておくこと
最初の一歩親が住む地域の地域包括支援センターに連絡する
ケアマネジャー連絡が取りやすく、遠距離の事情を理解してくれる人を選ぶ
見守り電話・近所の協力・配食や見守りサービス・自治体の緊急通報システムを組み合わせる
お金の管理判断力に不安が出たら、親が住む市町村の社会福祉協議会に相談する
仕事との両立介護休業・介護休暇を確認し、帰省の費用も見込んでおく
家族

まず母の地域の地域包括支援センターに電話してみます。帰省のときに、通帳の場所も聞いておきます。

編集部

はい。認知症が進んでからでは確認が難しいこともあるため、元気なうちの帰省が大切な機会です。一人で抱え込まず、地域の専門職と一緒に進めてください。

出典・参考