離れて暮らす父の通院に付き添うために、介護休暇を取りたいと考えています。同居していなくても取れるのか、要介護認定が必要なのか、条件がよく分かりません。
介護休暇の条件は、対象の労働者、対象の家族、介護が必要な状態の3つです。同居は要件ではなく、要介護認定の通知書を条件にすることもできないとされています。この記事では、厚生労働省の資料をもとに、順に整理します。介護休業との違いなど制度全体は介護休業・介護休暇とはにまとめています。
介護休暇の条件のあらまし
- 対象の労働者: 対象家族を介護する労働者(日々雇用を除く)。パートも対象
- 対象の家族: 配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母。同居の有無は問わない
- 日数: 1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)。1日または時間単位
- 給与: 有給か無給かは会社の規定
- 申出: 口頭でも可能
同居していなくても取れる?
父とは別々に暮らしています。それでも取れますか。
取れます。厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」では、対象家族は、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母で、「同居の有無は問わない」とされています。配偶者には、婚姻の届出をしていなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある人を含みます。
離れて暮らす親の通院の付き添いや、介護サービスの手続きに使うこともできます。離れた場所の親を支える場合の準備は、離れて暮らす親の介護(遠距離介護)を始めるときも参考になります。
要介護認定は必要?
父はまだ要介護認定を受けていません。それでも対象になりますか。
介護休暇の対象は、要介護状態にある家族です。要介護状態とは、負傷、疾病、身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことです。厚生労働省のあらましには、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書などの提出を制度利用の条件とすることはできない、と書かれています(介護休業についての記載で、介護休暇の要介護状態の定義は同じとされています)。
「常時介護を必要とする状態」は、12項目の状態を示した表で判断する方法と、介護保険の要介護2以上という方法のどちらかで判断されます。ただし、あらましには、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の取得が制限されないよう、事業主は柔軟に運用することが望まれる、とも書かれています。要支援や要介護1の場合など判断に迷うときは、勤務先の担当者に状況を説明して相談してください。
日数と、時間単位での取り方
何日まで取れますか。
1年度(事業主が特に定めない場合は4月1日から翌年3月31日)に、対象家族が1人なら5日、2人以上なら10日までです。厚生労働省のページでは、1日または時間単位で取得でき、時間単位の取得は令和5年(2023年)1月から可能とされています。通院の付添い、介護サービスの手続代行、ケアマネジャーとの短時間の打合せにも使えると紹介されています。
時間単位の取得は、始業の時刻から連続する場合か、終業の時刻まで連続する場合を想定しています。就業時間の途中で抜ける「中抜け」までは法令では求められていません。時間単位が困難な業務の労働者は、労使協定があれば時間単位から除外されることがありますが、その場合も1日単位の申出は拒めません。
給与はどうなる?
休んだ日の給与は出ますか。
厚生労働省のページには、「介護休暇期間中は有給とするか無給とするかは、会社の規定によります」と書かれています。介護休暇には、介護休業のような雇用保険の介護休業給付金はありません。給与の扱いは、就業規則で確認してください。介護休業給付金については介護休業給付金がもらえないのはどんなときで説明しています。
パートでも取れる?
パートでも取れますか。
日々雇い入れられる人を除き、対象になります。あらましには、期間を定めて雇用される人や、ほかに対象家族を介護できる家族がいる人を理由に、介護休暇の取得を拒むことはできないと書かれています。ただし、労使協定があるときは、1週間の所定労働日数が2日以下の人は対象から除外されることがあります。
会社に断られたら
会社に「うちには制度がない」と言われたらどうなりますか。
介護休暇は、法律で定められた休暇です。あらましには、あらかじめ制度が導入され、就業規則などに記載されるべきものとされています。労使協定による除外(週の所定労働日数が2日以下、時間単位が困難な業務の労働者の時間単位)を除き、事業主は申出を拒めません。また、介護休暇の申出や取得を理由とする解雇、降格、減給などの不利益な取扱いは禁止されています。
断られたと感じたときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が、育児・介護休業法の相談窓口です。介護休業のデメリットや申出を拒まれたときの考え方は介護休業のデメリットはある?でも整理しています。
申出の方法と、書類
申請はどうすればいいのでしょうか。
厚生労働省のページでは、書面に限定されず、口頭での申出も可能とされています。申出では、氏名、対象家族の氏名と続柄、休暇を取る年月日、対象家族が要介護状態にある事実を、事業主に明らかにします。事業主が証明書類を求める場合も、事後の提出を可能にするなど、労働者に過重な負担にならないよう配慮することとされています。勤務先への言い方の例は、親の介護で仕事を休むときの伝え方にあります。
介護休業との使い分け
短い用事には介護休暇、まとまった期間の準備には介護休業が向きます。
| 比較 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 日数 | 1年度に5日(2人以上は10日) | 対象家族1人につき3回まで、通算93日 |
| 取り方 | 1日または時間単位 | まとまった休業 |
| 申出 | 口頭でも可 | 開始予定日の2週間前までに書面等 |
| 給付金 | なし(給与は会社の規定) | 雇用保険の介護休業給付金(要件あり) |
相談先と、そのまま使える質問メモ
条件で迷うときは、勤務先の人事・総務担当、育児・介護休業法については都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口です。介護そのものの相談は、地域包括支援センターに聞けます。
勤務先に聞くときの質問メモ
- 介護休暇の制度は、就業規則のどこに書かれていますか?
- 別居の親の通院の付き添いでも取れますか?
- 要介護認定を受けていない場合は、何を示せばよいですか?
- 休んだ日の給与は有給ですか。無給ですか?
- 時間単位で取れますか。どの時間帯が対象ですか?
- 申出は口頭でよいですか。書類が必要なら、いつまでに出せばよいですか?
- パートやアルバイトでも取れますか。労使協定で除外される場合はありますか?
まとめ
| 確認すること | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 対象の家族 | 配偶者・父母・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の父母。同居の有無は問わない | 勤務先 |
| 介護が必要な状態 | 2週間以上の常時介護が必要な状態。要介護認定の通知書を条件にはできない | 勤務先 |
| 日数・単位 | 1年度に5日(2人以上は10日)。1日または時間単位 | 勤務先 |
| 給与 | 有給か無給かは会社の規定 | 就業規則 |
| 断られたとき | 労使協定の例外を除き拒めない。不利益な取扱いは禁止 | 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) |
別居でも取れること、認定の通知書がなくても相談できることが分かりました。
はい。まずは勤務先の就業規則と担当者に確認してみてください。迷うときは、労働局の窓口や地域包括支援センターにも相談できます。

