父の介護で仕事を休むことになりそうです。介護休業給付金があると聞きましたが、「もらえない場合もある」という話も見かけて、不安です。
介護休業給付金は、条件を満たした人に雇用保険から支給されます。「もらえない」となる場面の多くは、要件の確認漏れや、休業中の働き方、休業の取り方によるものです。この記事では、ハローワークのリーフレットと厚生労働省のQ&Aをもとに、つまずきやすい点を順に整理します。制度全体の説明は介護休業・介護休暇とはにまとめています。
支給されない主なケース
- 雇用保険の被保険者期間などの要件を満たしていない
- 休業を始める時点で、休業のあとに退職する予定がある
- 休業中に働く日が多い(1つの支給単位期間で11日以上)
- 休業中に賃金が支払われ、その額が一定の割合に達している
- 対象家族や、介護が必要な状態の要件に当てはまらない
- 申請の期限を過ぎた
最終的に支給されるかどうかは、お住まいの地域を管轄するハローワークが判断します。この記事は目安として使い、個別のケースは勤務先とハローワークに確認してください。
まず、支給要件を確認する
そもそも、どんな人が対象になるのですか。
ハローワークのリーフレットによると、支給対象者は、家族を介護するために休業した雇用保険の被保険者のうち、介護休業を開始した日の前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上ある人です。賃金支払基礎日数とは、賃金の支払いの対象になった日数のことです。令和2年8月1日以降に休業を開始した場合は、11日以上の月が12か月ないときは、賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上の月も1か月として数える、とされています。
対象になる家族は、2週間以上にわたって常時介護が必要な状態にある、次の人です。
- 配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある人を含む)
- 父母(養父母を含む)、子(養子を含む)
- 配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
期間を定めて雇用されている人は、これに加えて、休業開始予定日から数えて93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないことが必要です。
休業のあとに退職する予定がある場合
休業のあと、介護のために仕事を辞めるかもしれません。その場合はもらえませんか。
リーフレットには、「介護休業を開始する時点で、介護休業終了後に離職することが予定されている方は、支給の対象となりません」と書かれています。厚生労働省のQ&Aでも、介護休業給付は休業後の職場復帰を前提とした給付金とされています。
⚠️ 退職の予定が決まっていないときは
「復帰するか迷っている」「状況次第で辞めるかもしれない」という段階の扱いは、個別の事情で判断が分かれます。休業の申出の前に、勤務先の人事・総務担当とハローワークに、今の状況をそのまま伝えて確認してください。また、支給単位期間の途中で離職した場合は、その期間分は支給されません。
休業中に働いた場合
休業中でも、少し出勤したり、在宅で仕事をしたりすることがあります。
就業している日が多いと、その期間は支給されません。リーフレットによると、1つの支給単位期間(休業開始日から1か月ごとの期間)の中で、就業していると認められる日が10日以下でなければ、その期間は支給対象になりません。全日休業している日以外の日が、就業している日として数えられます。日曜日や祝日など、会社の休日になっている日も、全日休業している日に含まれます。
休業中に賃金が支払われた場合にも、金額の調整があります。支給対象期間に払われた賃金と、支給額の目安(休業開始時賃金日額×支給日数×67%)の合計が、休業開始時賃金日額×支給日数の80%を超えると、超えた分が減額されます。賃金がその80%以上のときは、支給されません。パートやアルバイトで働いている人も、この考え方は同じです。
休業の期間が短いとき
1日だけ、あるいは数日だけ休む場合も、対象になりますか。
厚生労働省のQ&Aには、「介護休業の期間は2週間以上である必要はありません」と書かれています。対象家族が2週間以上の常時介護が必要な状態であることは要件ですが、休業そのものが2週間以上である必要はない、という整理です。
ただし、短い休業は、支給の対象になる期間の数え方や、介護休業の申出(開始予定日の2週間前までに書面などで申し出る)の扱いが関わります。介護休暇(年5日まで)との使い分けもあるため、日数が短い場合は、先にハローワークと勤務先に確認すると安心です。介護休暇については介護休業・介護休暇とはで説明しています。
日数と回数の上限
何回まで使えますか。
リーフレットでは、同じ対象家族について、93日を限度に3回まで支給されるとされています。休む前の不安は、介護休業のデメリットはある?でも整理しています。分割して取得する場合は、分割して支給されます。1回の休業で支給の対象になるのは、最長3か月(最大3つの支給単位期間)です。
金額の上限
いくらもらえるのかも気になります。
支給額は、原則として、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。リーフレットには、1つの支給対象期間あたりの上限額が366,222円と書かれています。これは令和9年(2027年)7月31日までの額で、その後は変わる場合があります。個別の金額は、勤務先が出す休業開始時賃金月額証明書の賃金をもとにハローワークが決めるため、この記事では計算例を載せていません。
申請の期限と、手続きをする人
申請はいつまでに、誰がするのですか。
リーフレットによると、一回の介護休業が終わった日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日までに、介護休業給付金支給申請書を提出します。また、この支給申請手続は、事業主が行うとされています。つまり、勤務先に休業を申し出たあと、勤務先に手続きを依頼する形が基本です。申請の期限を過ぎないよう、休業の申出の時点で、勤務先の担当者と手続きの流れを確認しておくと安心です。必要な書類は介護休業給付金の申請に必要な書類で整理しています。
「審査が厳しい」「不支給になった」と感じたら
申請したのに、支給されないと言われたらどうすればいいですか。
「審査が厳しい」という声を目にしますが、この記事では、審査の厳しさを示す公的なデータは確認できていません。まず、不支給になった理由を、勤務先を通じて、またはハローワークに直接たずねてください。要件(被保険者期間、就業日数、賃金の額、退職予定の有無)のどれに当たるのかが分かれば、対応を相談しやすくなります。
決定に納得できない場合は、雇用保険に関する不服申立ての制度があります。手続きの詳細は、ハローワークに問い合わせてください。仕事と介護の両立そのものがつらいときは、地域包括支援センターやケアマネジャーにも相談できます。介護疲れで限界を感じたときも参考にしてください。
相談先と、そのまま使える質問メモ
勤務先・ハローワークに聞くときの質問メモ
- 私は雇用保険の被保険者期間などの要件を満たしていますか?
- 介護休業を開始する前に、確認しておくことはありますか?
- 休業中に在宅で少し仕事をした場合、支給にどう影響しますか?
- 休業のあとの働き方がまだ決まっていません。この場合の扱いを教えてください
- 休業を数日だけ取りたいのですが、給付金の対象になりますか?
- 申請は勤務先が行いますか。期限はいつですか?
- 不支給になった場合、理由を教えてもらえますか?
まとめ
| 確認すること | 内容 | 相談先 |
|---|---|---|
| 被保険者期間 | 休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月以上 | ハローワーク・勤務先 |
| 退職の予定 | 休業開始時点で休業後の離職が予定されていると対象外 | ハローワーク・勤務先 |
| 休業中の就業 | 1つの支給単位期間で就業日が10日以下 | ハローワーク・勤務先 |
| 休業中の賃金 | 一定の割合以上だと減額・不支給 | ハローワーク |
| 日数・回数 | 同じ家族について93日まで3回 | 勤務先 |
| 申請期限 | 終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日まで | 勤務先・ハローワーク |
もらえない理由が具体的に分かったので、休業の前に何を確認すればいいか見えてきました。
はい。迷うところは、休業の申出の前に、勤務先の担当者とハローワークに聞いておくのが確実です。介護の負担が大きいときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターにも早めに相談してください。

