家族

私が祖父の介護をしているのですが、最近、中学生の娘が買い物や祖父の見守りをかなり手伝ってくれています。助かってはいるのですが、負担をかけすぎていないか心配になってきました。

編集部

それは大切な気づきです。本来大人が担うはずの家事や家族の世話を日常的に担っているこども・若者は「ヤングケアラー」と呼ばれ、国や自治体が支援を進めている対象です。まず実態と、見落としがちな制度上のポイントを整理します。

ヤングケアラーとは

家族

「お手伝い」との違いが分かりません。

編集部

政府広報オンラインの説明では、ヤングケアラーが担う家事や世話は、ごく普通の「お手伝い」とは異なり、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行うなど、その責任や負担が重いもの」とされています。その結果、学業や友人関係に影響が出てしまうこともあります。

ヤングケアラーが担うことが多い世話の例

  • 食事の準備や掃除、洗濯といった家事
  • 家族の見守り
  • 幼いきょうだいの世話
  • 目の離せない家族への、感情面でのサポートや励まし

実態調査で見えている数字

家族

うちだけの特別な状況ではないのでしょうか。

編集部

決して珍しいことではありません。厚生労働省の実態調査(令和3年3月・令和4年3月)によると、世話をしている家族が「いる」と回答したのは、小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%でした。さらに、世話をしている家族が「いる」と答えた人のうち、世話の頻度は、いずれの年代でも「ほぼ毎日」が最も多いという結果になっています。

子がいることを理由に、介護保険サービスをあきらめなくていい

家族

訪問介護を増やしたいのですが、「うちには娘がいるから」と遠慮してしまっていました。

編集部

そこは誤解しやすいポイントです。厚生労働省は2024年6月、介護保険サービスの支給事務等について自治体向けに、「利用者に同居家族(ヤングケアラーも含む)がいることをもって一律に本人への生活援助が位置付けられないというものではない」と明確に示しました。そのうえで、「特にこどもが主たる介護者となっている場合は、こどもらしい暮らしが奪われることのないよう、家族へのケアに係るヤングケアラーの負担等に配慮し、適切に介護保険サービスが提供されるように」対応することを、自治体や介護保険の関係者に求めています。

⚠️ 「同居家族がいるから使えない」は思い込みかもしれません

訪問介護の生活援助(掃除・洗濯・調理などの家事支援)は、同居家族がいる場合は使えないと誤解されがちですが、家族に十分な対応が難しい事情があれば利用できます。子どもが家事や介護を担っている場合は、それ自体が「十分な対応が難しい事情」にあたり得ます。ケアマネジャーに、子どもの負担について具体的に伝えてください。

どこに相談すればいい?

家族

娘のことは、誰に相談すればいいでしょうか。

編集部

すでにケアマネジャーがいる方は、まずケアマネジャーに、子どもが担っている家事や世話の内容を具体的に伝えてください。学校のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談できる場合もあります。都道府県や市区町村には、ヤングケアラー専用の相談窓口や、LINEなどを使った相談窓口を設けているところもあります。福岡市のように、ヤングケアラーがいる家庭にヘルパーを派遣して家事・育児支援を行う事業を設けている自治体もあります。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 子どもが家事や介護を手伝っていることを伝えたうえで、訪問介護の生活援助を増やすことはできますか?
  2. 近くに、ヤングケアラー専用の相談窓口はありますか?
  3. 学校には、どこまで事情を伝えておいたほうがいいですか?
  4. 子ども自身が相談できる窓口はありますか?
  5. 今のケアプランを、子どもの負担を減らす方向で見直せますか?

まとめ

状況対応
子どもが家事や介護を日常的に担っているヤングケアラーにあたる可能性がある。一人で抱えさせない
「同居家族がいるから」と生活援助を遠慮している一律には制限されない。ケアマネジャーに相談する
子どもの様子が心配学校(スクールカウンセラー等)や自治体の相談窓口も活用する
自治体の支援を知りたいヤングケアラー専用窓口やヘルパー派遣事業の有無を確認する
家族

娘に負担をかけすぎていたのかもしれません。ケアマネジャーに、サービスを見直せないか相談してみます。

編集部

はい。子どもの「こどもとしての時間」が守られるよう、介護保険サービスの使い方も含めて、専門職と一緒に見直してみてください。

出典・参考