認知症の母の代わりに銀行で手続きをしようとしたら、本人でないとできないと言われました。成年後見制度というものがあると聞いたのですが、どんな制度でしょうか。
成年後見制度は、判断能力が衰えた方に代わって、財産の管理や契約などを行う人を選ぶ制度です。大きく分けて2つの仕組みがあるので、順番に整理します。
法定後見と任意後見、2つの仕組み
2つあるというのは、どう違うのですか。
すでに判断能力が低下している方を対象にするのが「法定後見制度」、まだ判断能力があるうちに将来に備えて自分で後見人を決めておくのが「任意後見制度」です。お母さまのように、すでに判断能力が低下している場合は、法定後見制度の対象になります。
法定後見の3つの類型
法定後見にも種類があるのですか。
判断能力の程度に応じて、3つの類型に分かれています。
法定後見の3類型
- 後見: 多くの手続・契約などを、ひとりで決めることが難しい方
- 保佐: 重要な手続・契約などを、ひとりで決めることが心配な方
- 補助: 重要な手続・契約の中で、ひとりで決めることに心配がある方の一部
どの類型になるかは、医師の診断や家庭裁判所の判断によって決まります。認知症の進行度によって当てはまる類型が変わってきます。
申立ての流れ
どこに、どうやって申し立てればいいのですか。
本人が住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に申し立てます。申立てができるのは、本人やその配偶者、四親等内の親族などです。申立て後は家庭裁判所の審理を経て、成年後見人等が選ばれます。親族が選ばれることもあれば、司法書士などの専門職が選ばれることもあります。
費用はどれくらいかかるか
手続きにお金はかかりますか。
申立ての段階と、後見開始後の段階、それぞれに費用がかかります。
主な費用の目安
- 申立ての収入印紙: 800円程度(申立ての内容によって加算あり)
- 戸籍謄本・住民票などの取得費: あわせて1,000円程度
- 診断書作成費: 医療機関により異なり、おおむね3,000円〜1万円程度
- 鑑定費用(必要な場合のみ): 10万円以下となることが多いですが、20万円程度かかる場合もあります
- 後見人への報酬(月額の目安、管理する財産額による): 財産1,000万円以下で月2万円程度、1,000万円超5,000万円以下で月3万〜4万円程度、5,000万円超で月5万〜6万円程度
⚠️ 一度始まると原則やめられない
法定後見・任意後見とも、いったん始まると、原則として本人が亡くなるまで続きます。後見人への報酬も、その間ずっと発生し続けます。申立て前に、費用の見通しを含めてよく検討してください。
費用が心配なときは
費用の負担が大きくて心配です。
経済的に困難な場合は、法テラス(日本司法支援センター)に相談すると、費用の立て替えなどの制度を利用できる場合があります。また、自治体によっては「成年後見制度利用支援事業」として、申立て費用や後見人報酬の一部を助成する制度もあります。お住まいの自治体に確認してみてください。
どこに相談すればいい?
まず何から始めればいいでしょうか。
地域包括支援センターや市区町村の窓口で、成年後見制度について相談できます。手続きの詳細は、家庭裁判所や法テラス、司法書士・弁護士などの専門職にも相談できます。
相談時にそのまま使える質問メモ
- うちの場合、後見・保佐・補助のどれに該当しそうですか?
- 申立てから後見人が決まるまで、どのくらいの期間がかかりますか?
- 成年後見制度利用支援事業は、うちの自治体にありますか?
- 親族が後見人になることはできますか?
- 任意後見制度も検討したほうがいい場面はありますか?
まとめ
| 制度 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| 法定後見(後見・保佐・補助) | すでに判断能力が低下している方 | 家庭裁判所への申立てが必要。3類型から該当するものが選ばれる |
| 任意後見 | 将来に備えたい、判断能力がある方 | 本人があらかじめ後見人と契約を結んでおく |
制度の仕組みが分かって、まず相談する場所が見えてきました。
はい。費用も継続的にかかる制度なので、地域包括支援センターなどでよく相談したうえで進めてみてください。