家族

母が足腰が弱ってきて、通院のたびに大変な思いをしています。訪問診療というものがあると聞いたのですが、どんな仕組みなのでしょうか。

編集部

訪問診療は、通院が難しくなった方のご自宅に医師が定期的に来て、診察や薬の処方をしてくれる仕組みです。似た言葉に「往診」もあるので、まず違いから整理します。

訪問診療と往診、何が違うのか

家族

訪問診療と往診は、同じものだと思っていました。

編集部

どちらも医師が自宅に来る点は同じですが、性質が異なります。訪問診療は、あらかじめ診療計画を立てたうえで、月1〜2回など決まった頻度で定期的に訪問する医療です。一方の往診は、急な発熱や体調悪化があったときに、そのつど依頼して来てもらう臨時の診療を指します。

訪問診療と往診の違い

  • 訪問診療: 計画的・定期的(月1〜2回など)。慢性的な体調管理が目的
  • 往診: 突発的・臨時。急な体調変化への対応が目的
編集部

在宅療養を続ける方の多くは、この2つを組み合わせています。普段は訪問診療で定期的に体調を診てもらい、急な変化があったときは同じ医師や診療所に往診を依頼する、という形です。

訪問診療の対象になるのはどんな人か

家族

母のように足腰が弱っているだけでも、対象になりますか。

編集部

訪問診療の対象は、「疾病や傷病のために通院による療養が困難な方」とされています。要介護度や年齢で一律に決まるわけではなく、あくまで医師が「通院が難しい状態かどうか」を判断します。寝たきりの方や重度の認知症、進行したがん、神経難病、心不全や呼吸器疾患が進んだ方、退院後も医療的な管理が必要な方などが中心ですが、お母さまのように足腰の衰えで通院そのものが大きな負担になっている場合も、相談の対象になり得ます。

訪問看護との役割分担

家族

訪問看護というサービスも聞いたことがあります。訪問診療とは違うのでしょうか。

編集部

役割が分かれています。訪問診療の医師は、診察・薬の処方・治療方針の決定を担当します。訪問看護は、その医師の指示のもとで、体温や血圧の確認、点滴、床ずれのケア、服薬管理といった日常的な医療的ケアを担当します。医師と看護師が連携しながら在宅療養を支える仕組みで、多くの場合、担当のケアマネジャーも交えた3者で情報を共有しながら進めます。

費用はどれくらいかかるか

家族

費用はどのくらいを見込んでおけばいいですか。

編集部

訪問診療・往診はいずれも医療保険が適用され、診療報酬の点数に応じて費用が決まります。月2回の訪問診療で処方を受ける場合、自己負担1割の方でおおよそ7,000円前後、3割負担の方でおおよそ2万円前後が目安とされています。実際の金額は、訪問回数や検査・処置の有無、夜間・休日の緊急対応が発生したかどうかによって変動します。

⚠️ 目安であって確定額ではない

上記はあくまで一般的な目安です。実際の費用は診療所の体制や処置の内容によって異なるため、契約前に見積もりを確認してください。高額療養費制度の対象になる場合もあるため、負担が大きくなりそうなときは診療所や自治体の窓口に相談してみてください。

訪問診療を始めるには

家族

実際に利用したい場合、どこに相談すればいいですか。

編集部

きっかけになる場面によって、相談先が変わります。

相談のきっかけ別・主な窓口

  1. 入院中で、退院後の在宅療養を考えている場合: 病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカー
  2. 通院中で、通院が難しくなってきた場合: 今のかかりつけ医、または地域包括支援センター
  3. すでに介護保険サービスを利用している場合: 担当のケアマネジャー
  4. 在宅での看取りも視野に入れている場合: 24時間対応できる在宅療養支援診療所に早めにつなぐ
編集部

すでにケアマネジャーがいる方は、まずケアプランに関わる相談として伝えるのがスムーズです。「在宅療養支援診療所」という、24時間365日体制で医師や看護師と連絡が取れることを条件に届け出た診療所もあるため、緊急時の対応まで含めて確認しておくと安心です。

どこに相談すればいい?

家族

まず何から始めればいいでしょうか。

編集部

すでにケアマネジャーがいる方はケアマネジャーへ、まだ介護保険サービスを利用していない方は地域包括支援センターへ相談してください。今のかかりつけ医に、通院が負担になってきていることを率直に伝えるところから始めても構いません。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 今の状態は、訪問診療の対象になりそうですか?
  2. 訪問診療と訪問看護、両方を組み合わせたほうがいいですか?
  3. 夜間や休日に急変したとき、対応してもらえますか?
  4. 月々の自己負担は、だいたいどのくらいになりそうですか?
  5. 今のケアプランに、訪問診療をどう組み込めますか?

まとめ

項目内容
訪問診療計画的・定期的(月1〜2回など)な医師の訪問
往診急な体調変化への臨時対応
対象通院が困難と医師が判断した方(要介護度・年齢は問わない)
訪問看護との違い医師が診察・処方、看護師が日常的な医療的ケアを担当
費用目安(月2回・処方あり)1割負担で約7,000円、3割負担で約2万円
家族

通院そのものをやめる決断ではなく、負担を減らす選択肢の一つなんですね。

編集部

はい。今のかかりつけ医や地域包括支援センターに相談するところから、無理のない形を一緒に探してみてください。

出典・参考