父が訪問診療を受け始めたのですが、看護師さんが来てくれる「訪問看護」というサービスも別にあると聞きました。何が違うのでしょうか。
訪問診療の医師が診察や治療方針を決めるのに対して、訪問看護は看護師などが自宅に来て、日常的な医療的ケアを行うサービスです。役割と、保険の使い分けを整理していきます。
訪問看護でできること
具体的にどんなことをしてもらえるのですか。
主治医が作成する「訪問看護指示書」に基づいて、看護師や理学療法士・作業療法士などが訪問し、次のようなケアを行います。
訪問看護の主な内容
- 血圧・体温・脈拍などのバイタルチェックと健康状態の管理
- 点滴、床ずれの処置、カテーテル管理などの医療処置
- 服薬状況の確認や管理
- 入浴介助や排せつケアなど、療養生活上の世話
- リハビリテーション
- 終末期(ターミナル)のケア
医師が行う診察・処方とは異なり、日々の体調管理から医療処置、生活面のケアまでを継続的に担うのが訪問看護の特徴です。
医療保険と介護保険、どちらが使えるか
訪問看護にも介護保険を使えるのですか。
訪問看護は医療保険・介護保険のどちらでも利用でき、どちらが適用されるかは条件によって決まります。
保険の使い分けの基本的な考え方
- 要介護・要支援認定を受けている方は、原則として介護保険が優先される
- ただし、末期の悪性腫瘍や難病など「厚生労働大臣が定める疾病等」に該当する場合は、要介護認定があっても医療保険が適用される
- 退院直後や病状が急に悪化したときに、主治医から「特別訪問看護指示書」(最大2週間)が出された場合も医療保険が適用される
- 認知症以外の精神疾患で「精神科訪問看護指示書」が交付された場合も医療保険が適用される
- 要介護・要支援認定を受けていない方は、原則として医療保険が適用される
介護保険には利用回数の制限がなく、1回の訪問時間も比較的柔軟に選べます。一方、医療保険は原則として週3回まで、1回30〜90分以内という制限がありますが、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や特別訪問看護指示書がある場合は、週4回以上や1日複数回の利用も可能になります。
費用の目安
費用はどのくらいかかりますか。
介護保険を利用する場合、1割負担であれば訪問時間に応じておおむね次のような目安になります。
介護保険での自己負担額の目安(1割負担・1回あたり)
- 20分未満: 約327円
- 30分未満: 約491円
- 30〜60分: 約858円
- 60〜90分: 約1,175円
医療保険の場合は、時間ではなく基本療養費という固定的な仕組みで計算され、月ごとの管理料などが別途加算されるため、単純な時間単価では比較しにくい仕組みになっています。実際の金額は、利用する制度や訪問回数、加算の有無によって変わるため、契約前に訪問看護ステーションや主治医に確認してください。
利用を始めるには
どうやって申し込めばいいですか。
まず主治医に、自宅での看護ケアが必要な状態であることを伝えてください。主治医が必要性を認めれば「訪問看護指示書」を作成し、地域の訪問看護ステーションや医療機関が指示書に基づいて訪問を開始します。すでにケアマネジャーがいる方は、ケアプランに組み込む形で相談すると手続きがスムーズです。訪問診療・在宅医療とはで紹介した訪問診療と組み合わせて利用するケースも多くあります。
どこに相談すればいい?
まず何から始めればいいでしょうか。
すでにケアマネジャーがいる方はケアマネジャーへ、まだ介護保険サービスを利用していない方は主治医や地域包括支援センターへ相談してください。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 今の状態は、訪問看護の対象になりそうですか?
- 介護保険と医療保険、うちの場合はどちらが適用されますか?
- 訪問診療と組み合わせて利用できますか?
- 月々の自己負担は、だいたいどのくらいになりそうですか?
- 夜間や休日の緊急時にも対応してもらえますか?
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な内容 | バイタルチェック、医療処置、服薬管理、リハビリ、ターミナルケアなど |
| 介護保険が適用される場合 | 要介護・要支援認定があり、特定疾病等に該当しない場合 |
| 医療保険が適用される場合 | 未認定の方、厚生労働大臣が定める疾病等、特別訪問看護指示書がある場合など |
| 介護保険での費用目安(1割負担) | 30分未満で約491円、60〜90分で約1,175円程度 |
訪問診療と訪問看護、それぞれの役割が分かりました。
はい。まずは主治医やケアマネジャーに、今の生活で困っていることを具体的に伝えてみてください。