父が、うちの深い浴槽をまたげなくなってきました。浴槽の底を上げて浅くできると聞きましたが、すのこや台、自作など、何を選べばいいのか分かりません。
浴槽の底を上げる方法はいくつかあり、安全面と費用の違いがあります。この記事では、浴槽内に置くものの違い、自作や代用品の注意点、介護保険の対象になる場合、相談のしかたを順に整理します。浴槽をまたぐ動作そのものが難しい場合は、浴槽をまたげなくなってきたときの対策もあわせて読んでください。
この記事でわかること
- 底上げの方法を比べる表(家庭の工夫・浴槽内すのこ・浴槽台・住宅改修)
- 自作や代用品で気をつけたい点
- 介護保険の特定福祉用具販売の対象になる場合と、購入前の確認先
- ケアマネジャーにそのまま使える質問メモ
底上げの方法を比べる
まず、どんな方法があるのか全体を知りたいです。
浴槽の底を上げる方法は、大きく4つに分けられます。どれが合うかは、本人の体の状態と浴室の広さ・浴槽の形で変わります。
| 方法 | 内容 | 向いている場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|---|
| 家庭にあるもので工夫 | 滑り止めマットを敷く、手すりを使うなど | またぎの高さがそれほど問題でない | 底上げにはならない。足元の安定が目的 |
| 浴槽内すのこ | 浴槽の底に敷いて高さを出す | 浴槽が深く、足を上げる高さを減らしたい | サイズが合わないと動く。底面の形を確認 |
| 浴槽台(浴槽内いす) | 浴槽内に置き、段差や腰かけにする | 出入りの途中で一段ステップがほしい | 位置が湯の中で見えにくい |
| 住宅改修・浴槽交換 | 浴室そのものを変える | 用具では対応しきれない | 工事前の申請が必要。費用が大きい |
どれか一つに決めず、浴槽用手すりなどと組み合わせる場合もあります。
浴槽内すのこと浴槽台の違い
浴槽内すのこと浴槽台は、どう違うのでしょうか。
浴槽内すのこは、浴槽の底に敷いて全体の高さを上げるものです。浴槽台は、浴槽の中に置いて腰かけや踏み台にするものです。名前は似ていますが、使い方が違います。
浴槽台を踏み台にするときの注意も紹介されています。テクノエイド協会のヒヤリハット事例では、浴槽内いすを踏み台にしようとして天板の端に足をかけ、バランスを崩しかけた例が報告されています。「お湯の中に設置されているため、位置がよく確認できないことも原因であると思われます」とされ、手すりの併用が有効と解説されています。
自作や代用品はどうなの?
すのこや台を、ホームセンターの材料で自作する方法も見かけました。
自作をすべて否定するものではありませんが、浴室は水で足元が滑りやすく、人の体重がかかります。次の点を先に確認してください。
⚠️ 自作・代用品で確認したい点
- 浴槽の底面にぴったり収まらず、動いたりずれたりしないか
- 体重がかかっても安定して、ぐらつかないか
- 濡れたときに滑らないか(足を置く面)
- 湯の中でも、位置や段差が本人に分かるか
- 掃除や分解のあとで、固定が外れていないか
最後の点は、実際の事例があります。テクノエイド協会のヒヤリハット事例には、浴槽内いすを一度分解して清掃したあと、組み立てが不十分で天板が外れ、足を踏み外した例が載っています。取扱説明書どおりに確実に組み立てることが大切とされています。自作品や代用品には取扱説明書がなく、こうした確認の目安がありません。迷うときは、福祉用具の専門相談員に相談するほうが安全です。
浅くすると危なくなることはある?
浴槽を浅くすると、かえって危険になることはありませんか。
底上げをすると、浴槽に入ったあとの姿勢や、立ち上がるときの動きが変わります。浴槽への出入りは楽になっても、座った姿勢から立ち上がりにくくなる場合もあります。この点は、本人の体の状態によって違います。
実際の入浴の様子を見てもらうのが確実です。ケアマネジャーや福祉用具の専門相談員、かかりつけ医、訪問リハビリなどに、「底上げのあと、入るとき・出るときの姿勢を見てほしい」と伝えてください。立ち上がれない、ふらつきがひどい、浴槽内で滑るなどが続く場合は、早めの相談をお勧めします。立ち上がりの用具の違いは、浴槽の中で立ち上がれないときの対策で整理しています。
介護保険の対象になる場合
浴槽内すのこや浴槽台を買うとき、介護保険は使えますか。
浴槽内すのこや浴槽内いすなどの入浴補助用具は、介護保険の「特定福祉用具販売」の対象となる場合があります。北九州市のページ(2026年7月27日更新)には、入浴補助用具として「浴槽内すのこ」「浴室内すのこ」などが挙げられています。
⚠️ 購入前に確認すること
- 年度(4月1日〜翌年3月31日)内の購入費の上限は10万円で、それを超えた分は全額自己負担になります
- 都道府県や市町村の指定を受けた「指定特定福祉用具販売事業者」から買う必要があります。指定のない事業者や、通販・量販店で買ったものは対象外になる場合があります
- 対象かどうか分からないときは、購入前に市区町村の介護保険担当窓口で確認します
- 要介護・要支援の認定を受けている必要があります。自治体によって運用の細部が異なります
手続きの流れは、介護保険で入浴補助用具を購入する手順で詳しく解説しています。なお、対象品目だからといって、どの製品でも給付されるとは限りません。購入前の確認が必要です。
相談先と、そのまま使える質問メモ
誰に相談すればいいでしょうか。
すでにケアマネジャーがいる方は、まずケアマネジャーに相談してください。まだ介護保険を使っていない方は、お住まいの地域の地域包括支援センターが窓口になります。具体的な伝え方は、ケアマネジャーに福祉用具を相談するときの伝え方も参考になります。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 浴槽が深くてまたげません。浴槽内すのこと浴槽台のどちらが合いますか?
- 底上げをしたあと、浴槽内で座る・立ち上がる動作に問題がないか、見てもらえますか?
- 自作や、ホームセンターで買った台でもよいでしょうか。注意点を教えてください
- 介護保険の特定福祉用具販売の対象になりますか。指定事業者はどこですか?
- 浴槽用手すりやバスボードとの組み合わせはどうなりますか?
- 用具で対応できないとき、住宅改修や浴槽交換は検討できますか?
まとめ
| 方法 | 窓口 | 注意点 | 公式リンク |
|---|---|---|---|
| 浴槽内すのこ・浴槽台の購入 | ケアマネジャー・市区町村の介護保険担当 | 指定事業者から購入。年度10万円が上限。購入前の確認が必要 | 北九州市 特定福祉用具販売 |
| 自作・代用品 | 福祉用具の専門相談員 | 固定・滑り・位置を確認。介護保険の対象外 | テクノエイド協会 ヒヤリハット事例 |
| 住宅改修・浴槽交換 | ケアマネジャー | 工事前の事前申請が必要 | 浴槽をまたげなくなってきたときの対策 |
台やすのこを買う前に、まず専門の人に姿勢を見てもらうことが大事だと分かりました。
はい。底上げは、浴槽に入るときと、出るときの両方の安全が変わります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら、本人に合う方法を選んでください。


