家族

デイサービスをお風呂だけ使いたいです。そんな使い方はできますか。

編集部

入浴を主な希望として相談することはできますが、介護保険で「入浴のみ」を自由に選べるとは言い切れません。本人に必要な支援と利用時間をケアプランにどう組み込むか、事業所でどう受け入れるかを確かめる必要があります。

最初に知っておきたいこと

  • デイサービスは、入浴を含む日常生活の支援や機能訓練を受けるサービスです
  • 短時間なら入浴だけでよい、という制度ではありません。国の資料には、入浴サービスのみの利用は適当ではないという注意があります
  • 「入浴特化型」「半日型」という案内だけで決めず、利用計画・入浴方法・滞在時間を確かめます
  • 要支援の方の一般的なデイサービスは、市区町村の総合事業の通所型サービスで相談します
  • まずケアマネジャーへ。担当がいない方は地域包括支援センターへ、家での入浴が難しい事情を伝えてください

デイサービスで「お風呂だけ」は使える?

家族

お風呂に入れてもらうことが目的でも、相談してよいのでしょうか。

編集部

はい。「家の浴室では介助が難しい」「長く滞在するのは負担」といった事情を、そのまま伝えてください。厚生労働省の説明では、通所介護は「食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練等の利用者に応じた必要なサービス」を提供するものです。介護サービス情報公表システム「通所介護」で確認できます。

家族

では、入浴してすぐ帰ってもよいのですか。

編集部

そこは、本人の希望だけで決められるとは限りません。厚生労働省の留意事項通知には、「単に入浴サービスのみといった利用は適当ではなく」とあり、日常生活を通じた機能訓練等を行う趣旨が示されています。これは「二時間以上三時間未満」の通所介護についての記載で、2026年10月14日の審議会資料も同じ制度上の注意を説明しています。留意事項通知・第270回介護給付費分科会 資料1、14~15ページ

入浴だけの利用を一律に認める制度とは読まないでください

2026年10月14日の審議会資料では、入浴を助けるサービスが不足する地域などで、例外的な短時間利用を認める案が示されています。資料の文言は「認めることを検討してはどうか」であり、これだけで利用できる制度が始まったとは判断できません。

編集部

運営基準では、本人の状態・希望・生活環境を踏まえた通所介護計画が必要です。また、「通所介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該居宅サービス計画の内容に沿って作成しなければならない。」と定めています。ケアプランは暮らし全体の支援計画、通所介護計画は事業所で受ける支援の計画です。運営基準 第九十九条

編集部

入浴を主な希望にしながら、ほかにどの支援が必要か、無理なく通えるかを一緒に検討するのが相談の出発点です。受け入れ方は事業所によって異なるため、利用内容と時間を具体的に確認してください。

入浴に力を入れた事業所・短時間のデイサービスとは

家族

「入浴特化型」や「半日型」という名前なら、お風呂だけ使えますか。

編集部

確認した運営基準・報酬表には、「入浴特化型」という独立した制度上の区分はありません。事業所が打ち出す特色として受け止め、実際のサービス内容を確かめてください。「半日型」も、名前から介護保険の料金区分や入浴のみの利用可否が決まるものではありません。

編集部

報酬表には、「3時間以上4時間未満」や「4時間以上5時間未満」などの区分があります。短時間で探すときも、入浴にかかる時間だけではなく、計画された支援全体の時間を確認しましょう。厚生労働省 サービスコード表、通所介護

案内で見かける言葉見学・相談で確かめること
入浴特化型入浴以外に受ける支援、本人の希望に合う利用計画か
半日型・短時間型家を出てから帰るまでの予定と、事業所内の利用時間
個浴個別に入る浴槽か、脱衣や洗身の介助をどう受けるか
機械浴どのような設備か、本人の姿勢や移動方法に合うか
編集部

デイサービスの種類全体はデイサービスの選び方、リハビリを目的としたデイケアとの違いは通所リハビリテーションとはも参考にしてください。

料金はいくら?

家族

入浴を主な目的にしたら、料金は安くなりますか。

編集部

「お風呂だけ」の全国共通料金があるわけではありません。基本の費用は、要介護度、事業所の規模、所要時間で変わり、加算もあります。以下は令和6年度のサービスコード表にある、通常規模型の通所介護の基本報酬です。

所要時間要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
3時間以上4時間未満370単位423単位479単位533単位588単位
4時間以上5時間未満388単位444単位502単位560単位617単位
5時間以上6時間未満570単位673単位777単位880単位984単位
6時間以上7時間未満584単位689単位796単位901単位1,008単位
7時間以上8時間未満658単位777単位900単位1,023単位1,148単位
8時間以上9時間未満669単位791単位915単位1,041単位1,168単位
編集部

大規模型や地域密着型通所介護には別の単位数があります。この表だけで見積もらず、事業所の料金表で確認してください。令和8年度の改定資料では処遇改善加算などの変更が示されているため、基本報酬だけでは支払額は決まりません。令和8年度改定の概要

家族

入浴の料金は、別にかかるのでしょうか。

編集部

入浴介助加算が上乗せされることがあります。令和6年度のサービスコード表では、入浴介助加算(Ⅰ)は40単位、(Ⅱ)は55単位です。これは基本報酬に加える単位数で、入浴だけを頼む料金ではありません。

編集部

自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある方は2割または3割です。単位数に地域区分に応じた単価を掛け、本人の負担割合を当てはめます。以下は、告示の「その他」の地域区分に当たる1単位10円として、基本報酬と入浴介助加算(Ⅰ)だけを足した試算です。自己負担の説明(富田林市)・一単位の単価の告示

試算の条件合計単位数1割負担2割負担3割負担
通常規模型・要介護1・3時間以上4時間未満、入浴介助加算(Ⅰ)370+40=410単位410円820円1,230円

試算は、実際の請求額ではありません

上の例には、処遇改善加算などのほかの加算、食事代などを含めていません。地域区分で単価も変わります。食事やおむつなどの日常生活費は別途負担です。厚生労働省の通所介護の案内では送迎費用はサービス費に含むとしていますが、家族が送迎する場合なども含め、実際の利用条件で料金表を確認してください。

要支援でもお風呂に入れる?

家族

要支援だと、デイサービスでお風呂に入れないのでしょうか。

編集部

要支援だから入浴の支援が一律にない、ということではありません。ただし、要介護の方の「通所介護」と同じ制度ではなく、一般的なデイサービスの相談先は市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所型サービスです。旧介護予防通所介護に相当する支援などがあり、内容・回数・料金は自治体によって異なります。

編集部

厚生労働省の指針は、「サービス・活動事業の利用者負担の割合又は額については、市町村が定める。」としています。通所型サービスには、従前の通所介護に相当するもののほか、基準を緩和したもの、住民主体の活動、短期集中の支援などがあり、すべてで入浴介助を受けられるとは限りません。総合事業の指針・厚生労働省 通所型サービスの類型

自治体の公式案内の例入浴に関する記載読むときの注意
横浜市の総合案内通所介護相当サービスで、機能訓練や健康チェック、入浴・食事などの介護を案内同市のサービスの例。本人の利用計画と事業所の対応を確認
伊勢市の総合事業の案内通所介護相当サービスで、食事・入浴・体操などを提供同市の例では、事業対象者・要支援1の「1か月の中で全部で4回まで(入浴あり)」は、1割負担のめやすが1回384円。全国共通の料金・上限ではない
編集部

伊勢市の同じ表には、別の利用回数に応じた月額の記載もあります。「4回まで」の行を、要支援の方が月に使える上限だと読み替えないでください。お住まいの地域包括支援センターに、入浴介助のあるサービスの名称と、希望する回数での見積もりを尋ねましょう。

断られたとき・見つからないとき

家族

問い合わせた事業所で難しいと言われたら、どうすればよいですか。

編集部

事業所によって事情が異なります。「入浴のみという利用内容が難しいのか」「本人に必要な介助や利用時間を含めて相談し直せるのか」を確かめ、その回答をケアマネジャーに伝えてください。別の通所先や自宅での入浴支援も含めて探してもらいましょう。

編集部

自分で候補を探す場合は、介護サービス情報公表システムで地域の事業所情報を調べられます。掲載情報だけで入浴のみの受け入れを判断せず、直接確認してください。担当者と相談が進まないときの伝え方や窓口は、ケアマネジャーの変更方法にまとめています。

回数はどれくらい?

家族

週に何回くらい通えますか。

編集部

今回確認した通所介護の運営基準・報酬表には、「入浴は全国一律で週何回まで」という定めは確認できませんでした。必要な回数をケアプランで検討し、ほかのサービスと合わせて保険の支給限度額に収まるかを確かめます。要支援の総合事業については、自治体ごとの回数の扱いも確認してください。

編集部

支給限度額は、介護保険で使えるサービス費の枠です。自治体の案内にも「限度額を超えた分は全額自己負担になります。」とあります。堺市の支給限度基準額の案内を参照し、本人の場合はケアマネジャーに確認してください。

編集部

体を洗う頻度の悩みは、サービスの利用回数とは分けて相談してよい内容です。高齢者の入浴頻度の考え方も、家庭でのケアを考える参考にしてください。

デイサービス以外の選択肢

家族

通う負担が大きい場合、ほかに方法はありますか。

編集部

自宅での支援や用具も、並べて相談してみてください。下の表は相談する選択肢であり、本人が保険で使えるかどうかは利用計画や対象条件の確認が必要です。

選択肢相談したい場面確認すること
訪問入浴介護自宅で持参した浴槽による介助を検討したい訪問入浴の料金と回数、訪問時の介助方法
訪問介護の入浴介助自宅の浴室を使って支援を受けたい浴室環境と本人に必要な介助に対応できるか
自宅の工夫サービスを使う日以外の方法を考えたいシャワーだけでの入浴、清拭などの取り入れ方を相談
福祉用具浴室での移動や立ち座りが不安入浴用いす・手すりなどが体や浴室に合うか。購入前にケアマネジャーへ相談
編集部

選択肢の全体像は親をお風呂に入れられないときで確認できます。本人が入浴を嫌がっている場合は、認知症の方が入浴を嫌がるときも参考に、理由や声かけから相談してください。

見学・相談で確かめること

家族

見学では、どこを見ればよいですか。

編集部

浴槽の見た目だけでなく、本人が脱衣してから入浴を終えるまでの介助を尋ねましょう。介助する職員の人数や方法は、本人の状態を伝えたうえで聞いてください。衛生面は、浴槽や脱衣所の清掃、タオルの扱いなどを見学で確かめるとよいでしょう。

  • 個浴・機械浴など、どの方法で入る予定か
  • 脱衣・移乗・洗身を誰がどう介助するか
  • 入浴の順番、待ち時間、入浴以外に過ごす時間
  • 送迎の方法と、家を空ける時間の見通し
  • 体調がすぐれない日の連絡先、入浴の変更時の費用

どこに相談すればいい?

家族

まず誰に、どんな順番で話せばよいでしょうか。

編集部

担当のケアマネジャーがいる方は、その方へ相談してください。担当がいない方や要支援の方は、お住まいの地域包括支援センターが相談先です。「家で入浴を続けるのが難しい理由」と「本人が負担なく過ごせそうな時間」を伝えると、必要な支援を相談しやすくなります。

相談から利用までの進め方

  1. 本人の希望と、自宅での入浴で困る場面をメモする
  2. ケアマネジャーか地域包括支援センターへ、通所での入浴支援を相談する
  3. 候補の事業所を見学し、利用内容・時間・送迎・料金表を確認する
  4. 本人に必要な支援と回数を利用計画で相談する

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 自宅での入浴が難しいのですが、入浴を主な希望にして相談できる通所先はありますか?
  2. 本人の状態では、入浴以外にどんな支援が必要で、どれくらいの時間になりますか?
  3. 入浴方法と介助体制は本人に合いますか? 送迎を含めた予定も教えてください。
  4. 希望する回数で、加算・食事代などを含む自己負担はいくらですか? 支給限度額にも収まりますか?
  5. 要支援の場合、自治体のどの通所型サービスで入浴介助を受けられますか? 通所が難しければ、自宅で受ける支援も相談できますか?

まとめ

制度名・選択肢窓口注意点公式リンク
通所介護ケアマネジャー・事業所入浴のみの利用を一律に認めるものではない。計画と受け入れを相談厚労省のサービス案内
総合事業の通所型サービス地域包括支援センター・市区町村内容・回数・料金は自治体によって異なる厚労省の指針
通所介護の基本報酬・入浴介助加算ケアマネジャー・事業所規模・時間区分・加算を含む料金表で確認サービスコード表
自宅での入浴支援・用具ケアマネジャー・地域包括支援センター体の状態・浴室環境を伝え、通所以外の方法も検討介護サービス情報公表システム
家族

「お風呂だけ使えるか」だけでなく、本人に必要な支援と、通っている間の過ごし方を相談すればよいのですね。

編集部

はい。家庭で難しくなったことを伝えて、入浴を続けるための方法を一緒に探してもらってください。見学と見積もりを確認しながら、本人にも家族にも無理の少ない利用を相談しましょう。

出典・参考