家族

要介護1の父について、ケアマネジャーから区分変更を勧められました。介護度が上がると、保険料や自己負担が増えて損をすると聞いたのですが、本当でしょうか。

編集部

介護度が上がると変わるのは、主に「使えるサービスの量の上限」です。介護保険料は所得などで決まり、要介護度では決まりません。一方で、自己負担は実際に使った分に応じて増えます。順に、公式の資料で確認します。

要介護度が上がると、どんなデメリットがある?

家族

結局、デメリットは何ですか。

編集部

公式の資料で確認できる範囲では、主なものは次の2つです。

介護度が上がることで、気をつけたいこと

  • 利用できる量の上限が上がる分、サービスを増やして使えば、自己負担も使った分だけ増える
  • 区分変更を申請しても、結果が上がるとは限らない(変わらない、下がることもある)
編集部

反対に、よく心配される「保険料が上がる」は、確認できる範囲では当てはまりません。住宅改修のように、介護度が上がったことで、あらためて使える場合がある制度もあります。申請の流れや、結果が上がるとは限らない点は、介護保険の区分変更とはで整理しています。

介護保険料は上がる?

家族

介護度が上がると、毎月の介護保険料も上がるのですか。

編集部

上がりません。65歳以上の保険料は、市区町村が決めた基準額と、本人や世帯の所得などの段階で決まり、要介護度は決まり方に入っていません。横浜市は「保険料は、本人及び住民票上の世帯(*1)の課税状況や所得状況に基づいた段階別の保険料となっていて、個人ごとに算定されます。」と説明しています。また、「横浜市が決定した保険料額(基準額)に基づき、前年の所得に応じて保険料がかかります。」ともあります。

家族

本当に要介護度は関係ないのでしょうか。

編集部

横浜市と町田市のページを確認した範囲では、保険料の決まり方の説明に「要介護」や「認定」という言葉は出てきません。保険料が変わるのは、所得や課税の状況が変わったときや、基準額そのものが見直されるときです。町田市は「第1号被保険者の保険料は、3年ごとに策定する介護保険事業計画に基づいて改定されます。」としています。基準額は市区町村によって異なるため、お住まいの市区町村の案内を確認してください。

自己負担や利用料は、どう変わる?

家族

介護度が上がると、利用料は増えますか。

編集部

使うサービスの量が増えれば、自己負担も増えます。厚生労働省の介護サービス情報公表システムは、「居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。」と説明しています。そのうえで、「限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担です。」、「限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。」とあります。

編集部

つまり、介護度が上がると「使える量の上限」が増えますが、実際の負担は使った量で決まります。上限が高くなっても、使わなければ負担は増えません。サービスによっては、要介護度ごとに料金が決まっているものもあるため、増え方は事業者やケアマネジャーに見積もりを確認してください。自己負担割合が1割・2割・3割のどれになるかは介護保険の自己負担割合で整理しています。

住宅改修は、介護度が上がるとどうなる?

家族

手すりの工事を、すでに介護保険で使いました。介護度が上がったら、また使えますか。

編集部

条件を満たせば、あらためて使える場合があります。住宅改修の支給限度基準額は、厚生労働省の資料で「生涯20万円(要支援、要介護区分にかかわらず定額)」とされています。ただし、同じ資料に「要介護状態区分が重くなったとき(三段階上昇時)、また、転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定される。」とあります。

家族

「3段階」は、区分が3つ上がることですか。

編集部

少し違います。厚生労働省の資料では、要介護度を次の6つの「段階」に分けて数えます。

段階要介護度
第一段階要支援1
第二段階要支援2・要介護1
第三段階要介護2
第四段階要介護3
第五段階要介護4
第六段階要介護5
編集部

袖ケ浦市の資料では、「要支援1から要介護2となった場合、要介護等状態区分は3段階上がるものの、「介護の必要の程度」の段階は2段階しか上がっておらず、3段階リセットの例外は適用されません。」と説明しています。たとえば、要介護1(第二段階)で初めて住宅改修をした人が要介護4(第五段階)になれば、3段階上がります。ただし、同じ資料には「「介護の必要の程度」の段階は3段階以上上がっても自動的に3段階リセットの例外が適用されるのではなく、その時点で住宅改修を行わない場合は適用されません。」、「3段階リセットの例外は1回しか適用されません。」ともあります。転居の場合も、「ただし、転居した場合は、転居後の住宅改修に着目し3段階リセットの例外が適用されます。」とされています。

⚠️ 住宅改修は、工事の前の申請が必要です

厚生労働省の資料でも、住宅改修は必要な書類を添えて、事前に市町村へ申請書を提出することが前提とされています。再度使えるかどうかは、自治体が着工日の要介護度などをもとに確認します。工事の前に、ケアマネジャーと市区町村の窓口に確認してください。手続きの詳細は介護保険の住宅改修で整理しています。

要介護1と2は、どちらが得?

家族

要介護1のままと、要介護2になるのと、どちらが得ですか。

編集部

損得で決めるものではなく、今の暮らしに必要な支援が、今の認定で足りているかで考えます。そのうえで、公式の資料で確認できる違いは次のとおりです。

要介護1と要介護2で確認できる違い

  • 居宅サービスの月の上限: 要介護1は167,650円、要介護2は197,050円(厚生労働省の同ページの表。差は29,400円)
  • 福祉用具の貸与: 要介護1までは、一部の福祉用具が原則として借りられない(自動排泄処理装置は要介護2・3も原則対象外)
編集部

福祉用具について、京都市は「軽度者(要支援1・2、要介護1)の方には、状態像から見て使用が想定しにくい7種目の福祉用具」は「原則として貸与できません。」としています。対象は、車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置(一部を除く)です。要介護2以上は、この「軽度者」に入りませんが、同じページの注意書きでは、自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く)は要介護2・3の方も原則として貸与できないとされています。また同じページには、「軽度者であっても例外的に福祉用具貸与が利用できます。」とあり、要介護1でも、状態によっては借りられる場合があります。詳しくは車椅子の選び方と介護ベッドの選び方をご覧ください。

家族

上限が上がれば、必ず使ったほうがいいのでしょうか。

編集部

必要な分だけ使えば十分です。上限は「使える量の天井」であって、使うべき量ではありません。ケアマネジャーに、今のケアプランで足りていないことが何かを整理してもらい、それに合う認定かどうかで判断してください。

負担が重いと感じたときは

家族

区分変更をして、サービスを増やすと、負担が重くなりそうで心配です。

編集部

1か月の自己負担が一定の上限を超えたときに、超えた分が戻る仕組みがあります。高額介護サービス費とはで月ごとの上限を、高額医療・高額介護合算療養費制度とはで医療費とあわせた年間の上限を整理しています。確定申告で使える介護サービスの医療費控除もあわせてご確認ください。

介護度が下がることもある

編集部

区分変更の結果は、上がるとは限りません。変わらない場合や、下がる場合もあります。結果が出る前にサービスを増やす場合の注意点も含めて、介護保険の区分変更とはで整理しています。介護度の決まり方は要介護認定とはをご覧ください。

どこに相談すればいい?

家族

まず誰に相談すればいいでしょうか。

編集部

すでにケアマネジャーがいる方は、まずケアマネジャーに、今のケアプランで足りていないことと、区分変更の必要性を相談してください。まだ担当がいない方や、誰に相談していいか分からない方は、地域包括支援センターが最初の窓口になります。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 区分変更をすると、今のケアプランで足りない分は補えますか?
  2. 介護度が上がった場合、サービスを増やすと、自己負担はいくらくらい増えますか?
  3. 保険料は、要介護度が変わっても変わらないと考えていいですか?
  4. すでに住宅改修を使っています。介護度が変わった場合、再度使えますか?
  5. 区分変更をしない場合と比べて、福祉用具の貸与はどう変わりますか?

まとめ

項目窓口注意点公式リンク
介護保険料(65歳以上)お住まいの市区町村市区町村の基準額と所得などの段階で決まる。要介護度は決まり方に入っていない。基準額は自治体ごとに異なる横浜市・町田市
居宅サービスの自己負担ケアマネジャー上限は要介護度別。範囲内は1割(所得により2割・3割)、超えた分は全額自己負担厚生労働省
住宅改修の再度の利用市区町村の介護保険担当窓口生涯20万円が原則。3段階以上の上昇か転居で再度。工事の前に申請が必要厚生労働省・袖ケ浦市
福祉用具の貸与(要介護1まで)ケアマネジャー7種目は原則借りられない。状態によって例外あり京都市
家族

保険料は上がらないと分かって、少し安心しました。まず、今のケアプランで足りていないことを整理してもらいます。

編集部

はい。損得ではなく、必要な支援に今の認定が合っているかを、ケアマネジャーと一緒に確認してみてください。

出典・参考