半年前に要介護1の認定を受けた母が、最近ぐっと動けなくなりました。今のサービスでは足りない気がしますが、認定をやり直すことはできますか。
できます。認定の有効期間の途中でも、状態が大きく変わったときは「区分変更」を申請できます。ただし、申請すれば介護度が上がる手続きではありません。どんなときに使う手続きか、誰がどう進めるかを、順に整理します。
区分変更とは ― どんなときに申請するのか
区分変更とは、どんな手続きですか。
町田市の案内では、すでに要介護または要支援の認定を受けている人が、「認定の有効期間中に状態が変わるなど、認定の見直しが必要な場合に申請する手続き」とされています。自治体によって「変更申請」「区分変更」「要介護認定等変更申請」など呼び方は違いますが、同じ手続きを指します。
状態が変わる、というのは、たとえばどんな場面でしょうか。
中野区のFAQには、有効期間の満了前に「変更申請の手続きが可能です。」と書かれています。質問の見出しは「状態が大きく悪化(回復)しました」で、悪化だけでなく回復した場合も対象です。ご家族が気づく変化としては、たとえば次のようなものがあります。
区分変更を考えるきっかけの例
- 入院や転倒をきっかけに、歩く・立ち上がる・トイレに行くための介助が増えた
- 食事や着替え、入浴で、手伝う回数や時間が以前よりはっきり増えた
- 物忘れなどが進み、目が離せない時間が増えた
- 逆に、リハビリなどで動けるようになり、介助が減った
町田市の案内には、要支援の認定を受けている人の場合の注意もあります。「要支援認定を受けている方が、要介護の区分へ変更を希望する場合は」、通常の区分変更の手続きではなく、「要介護・要支援認定の申請(新規・新規区分変更)」の手続きが必要だと書かれています。申請の種類の扱いは自治体で異なるため、要支援の方は窓口に確認してください。
いつ申請できる? 更新まで待つ必要はある?
認定の更新時期まで待たないといけませんか。
待つ必要はありません。ただし、申請の前にケアマネジャーに相談することが大切です。中野区の案内は「申請前に必ずケアマネジャーにご相談ください。(サービスや料金の兼ね合いがあります。)」としています。
申請するかどうかは、どう判断すればいいですか。
中野区は、「介護認定は、「心身の状態が悪化した」ときではなく、「介護保険サービスを利用する」ときに申請するものです。」と説明しています。区分変更を考えるときも、判断の軸は「状態が変わったか」だけではなく、「今のサービスで足りなくなっているか」です。ケアマネジャーに、状態の変化と、困っている場面を具体的に伝えて相談してください。
入院中でも申請できますか。
中野区では、入院中でも申請できるとしたうえで、「認定調査が可能な心身状態であることをご確認のうえ、ご申請ください。」と案内しています。退院に向けた準備と合わせて考える場合は、退院が決まったら、在宅介護に向けて進めておく準備も参考になります。
誰が、どこに申請する?
申請は本人でないとできませんか。
本人のほか、家族やケアマネジャーが手続きできるのが一般的です。ただし、書類の扱いは自治体で違います。
代理で申請するときの扱い(自治体の例)
- 東広島市: 「代理人(別居の家族、居宅介護支援事業所等)が申請書を持参する場合」について、代理権の確認書類(委任状など)が定められている
- 中野区: 「本人以外が申請する場合、委任状は必要ありますか?」という質問に、「必要ありません。」と答えている
- 町田市: オンラインで申請できるが、「マイナンバーを利用した申請は、ご本人による手続きが必要です。」とされている
窓口に行く以外の方法も、自治体によって用意されています。東広島市は郵送でも受け付けており、「郵送で申請する場合も、本市窓口で申請手続きを行うときと同様の書類が必要となります。」としています。どの方法が使えるかは、お住まいの市区町村に確認してください。
申請の流れと、必要なもの・期間
申請してからの流れを教えてください。
区分変更の流れ
- ケアマネジャー(まだいない場合は地域包括支援センター)に、状態の変化と困っていることを伝えて相談する
- 申請書を、窓口・郵送・オンラインなど、自治体で認められた方法で提出する
- 認定調査と主治医意見書で、心身の状況を確認する
- 介護認定審査会で判定する
- 認定結果の通知が、郵送で届く
- ケアマネジャーと、新しい認定結果に合わせてケアプランを見直す
町田市の案内では、流れのなかで「認定調査、主治医意見書で心身の状況を確認」し、「認定調査結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会で判定」するとされています。持ち物は、東広島市の例では「要介護認定等変更申請書」と「介護保険被保険者証」で、40歳から64歳の方は「(40歳から64歳の方のみ)医療保険の資格情報がわかるいずれかの書類」も必要です。マイナンバーの確認書類などが求められることもあるため、事前に窓口で確認してください。
結果が出るまで、どのくらいかかりますか。
要介護認定全体の目安として、神奈川県は「申請してから30日以内に、市町村から認定結果をお知らせします。」としています。実際の日数は自治体や時期によって異なります。申請の流れ全体は要介護認定とはで整理しています。
いつから新しい区分になる? 結果が出る前にサービスは使える?
新しい介護度は、いつから適用されるのですか。
中野区の案内では、認定結果の効力は申請日にさかのぼります。「認定結果は申請した日までさかのぼって有効になりますので、認定結果が出る前に介護保険サービスを利用することができます。」とされています。
⚠️ 結果が出る前にサービスを増やすときの注意
中野区の案内は、続けて「ただし、要介護や要支援の認定を受けることができなかった場合には、かかった費用は全額自己負担となります。」としています。また、「認定が出る前にサービスを利用する場合も、ケアプランが必要になりますので、地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業者に相談のうえ、暫定的なケアプランを作成する必要があります。」とも書かれています。認定前にサービスを増やすかどうかは、ケアマネジャーとよく相談してください。
例外もあります。中野区は、「変更申請を行い「要介護」から「要支援」になった場合、特例として、新しい介護度は認定日(介護認定審査会が行われた日)から適用されます。それ以外の場合は、申請日からの適用になります。」としています。結果が軽くなるときは、申請日までさかのぼらない場合がある、という点は覚えておいてください。
区分変更と更新の違い
更新との違いが分かりません。
更新は、有効期間が切れる前に認定を続けるための申請です。中野区の案内では、「継続して介護保険サービスを利用する場合は、更新申請を行います。」とされ、「手続きは有効期間満了月の前月から行えます。」とあります。区分変更は、有効期間の途中でも、状態が変わったときに行います。
| 区分変更 | 更新 | |
|---|---|---|
| 使うとき | 状態が大きく変わり、今の認定が合わなくなったとき | 有効期間が切れる前に、認定を続けたいとき |
| 申請できる時期 | 有効期間の途中でも可 | 有効期間満了月の前月から(中野区の例) |
| 有効期間の目安 | 新規・区分変更申請:原則6ヶ月(3ヶ月~12ヶ月) | 更新申請:原則12ヶ月(3ヶ月~48ヶ月) |
更新の手続きを始められる時期は、自治体によって異なります。中野区の例は上の表のとおりです。認定の有効期間の考え方は要介護認定とはもご覧ください。
申請しても、介護度が上がるとは限らない
申請すれば、介護度は上がりますか。
上がるとは限りません。区分変更は、今の状態を審査し直す手続きです。中野区の案内では、「審査の結果、介護度の変更が認められない場合は、申請が却下されます。」とされています。また、前に紹介したとおり、「要介護」から「要支援」へ軽くなることもあります。結果は、上がる・変わらない・下がる、のどれもあり得ます。
下がることがあるなら、申請しないほうがいいのでしょうか。
得か損かで決めるのではなく、本人に必要な支援量と、今の認定が合っているかで考えます。迷うときは、申請の前にケアマネジャーに、今のケアプランで何が足りていないかを整理してもらってください。
⚠️ 40歳から64歳の方は、原因の疾病に注意
40歳から64歳の方(第2号被保険者)が区分変更を申請する場合について、中野区は「変更申請を行う場合は必ず、介助量増加の原因が前回認定された特定疾病であることをご確認ください。」としています。申請前に、主治医やケアマネジャーに確認してください。
認定調査では、ありのままを具体的に伝える
認定調査のときに、特別な伝え方のコツはありますか。
特別な方法はなく、普段の様子を具体的に伝えるのが基本です。中野区は、認定調査で伝えることとして、本人の場合は「日ごろなにが大変で、どういった介護を要するのか」、家族の場合は「日ごろかかっている介護の手間の頻度やかかる時間、労力」などを挙げています。実際より重く見せる必要も、遠慮して軽く伝える必要もありません。
調査では、どんなことを調べられるのですか。
中野区の案内では、主に次の内容を調べるとされています。
認定調査で調べる主な内容(中野区の案内より)
- 起居動作(寝返りや立位、座位保持、歩行など)
- 生活動作(室内の移動や食事、排泄、清潔保持など)
- 認知機能(短期記憶、場所や日課などの理解など)
- 精神・行動障害(大声で叫ぶ、収集癖、介助への抵抗など)
- 社会生活(服薬や金銭管理、食品の温めなど)
- 特定の医療(カテーテルや褥瘡の処理、疼痛の看護など)
調査の前に書き出しておくメモ
- 変化に気づいたのは、いつごろからか (入院・転倒など、きっかけがあれば)
- 以前できていたことと、今できなくなったこと
- 介助が必要な場面ごとの、1日の回数と、かかる時間
- 夜間の様子 (トイレや見守りで起きる回数など)
- 日ごろ行っている医療的なケア (あれば)
このメモは、ケアマネジャーに状況を伝えるときにも、そのまま使えます。
介護度が変わると、使えるサービスの量と自己負担はどうなる?
介護度が変わると、何が変わりますか。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムは、「居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。」と説明しています。同じページに載っている、居宅サービスの1か月あたりの利用限度額は次のとおりです。
| 要介護度 | 居宅サービスの1か月あたりの利用限度額 |
|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 |
| 要支援2 | 105,310円 |
| 要介護1 | 167,650円 |
| 要介護2 | 197,050円 |
| 要介護3 | 270,480円 |
| 要介護4 | 309,380円 |
| 要介護5 | 362,170円 |
自己負担については、同じページに「限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担です。」、「限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。」とあります。つまり、介護度が上がると使える量の上限が増えますが、自己負担は実際に使った分に応じて増えます。ここでの金額は居宅サービスの上限で、施設サービスは別の仕組みです。自己負担割合の決まり方は介護保険の自己負担割合、負担が重いときの仕組みは高額介護サービス費とはで整理しています。どんなサービスがあるかは介護保険で使えるサービスの種類をご覧ください。
結果に納得できないとき
結果に納得できないときは、どうすればいいですか。
中野区の案内では、まず契約しているケアマネジャーに相談し、サービス利用の観点から見直しが必要かを確認します。そのうえで「見直しが必要な場合、変更申請の手続を行います。」とされています。それでも納得できない場合には、都道府県への審査請求もできます。審査請求には期限があるため、認定結果の通知書にある案内を確認し、早めにケアマネジャーや窓口に相談してください。
どこに相談すればいい?
まず誰に相談すればいいでしょうか。
すでにケアマネジャーがいる方は、まずケアマネジャーに、状態の変化と困っていることを伝えてください。まだ担当がいない方や、誰に相談していいか分からない方は、地域包括支援センターが最初の窓口になります。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 今の状態だと、区分変更を申請したほうがいいですか?
- 今のケアプランで、足りていないことは何ですか?
- 申請するときの、必要な書類と窓口はどこですか?
- 結果が出る前にサービスを増やす場合、費用はどうなりますか?
- 結果が上がらなかった・下がった場合、サービスはどう変わりますか?
まとめ
| 項目 | 窓口 | 注意点 | 公式リンク |
|---|---|---|---|
| 区分変更の申請 | お住まいの市区町村の介護保険担当窓口 (自治体により郵送・オンラインも) | 申請前にケアマネジャーに相談。結果は上がる・変わらない(却下)・下がるのどれもあり得る | 町田市・東広島市 |
| 認定結果が出る前のサービス利用 | ケアマネジャー・地域包括支援センター(暫定ケアプラン) | 認定を受けられなかった場合、費用は全額自己負担 | 中野区 |
| 更新申請 | 同上 | 区分変更とは別の手続き。申請できる時期は自治体で異なる | 中野区 |
| 結果に納得できないとき | ケアマネジャー・窓口。都道府県への審査請求も | 審査請求には期限がある。通知書の案内を確認する | 中野区 |
| 使えるサービスの量(支給限度額) | ケアマネジャー | 介護度別に定められ、使った分に応じて自己負担 | 厚生労働省 |
申請すれば上がる、と思い込んでいました。まずケアマネジャーに、今のサービスで足りないことを整理してもらいます。
はい。状態の変化を具体的に書き出して、早めに相談してください。