最近、母が同じことを何度も聞いたり、約束を忘れたりすることが増えてきました。年のせいなのか、病院に連れて行ったほうがいいのか分からず、悩んでいます。
気になる変化があるときは、診断がつく前の段階でも相談できる窓口があります。なお、認知症かどうかを判断するのは医師で、家族が見分ける必要はありません。まず相談先と受診先の選択肢を整理します。
最初の相談先は2つ
いきなり専門の病院に行くべきでしょうか。
まずは、身近なところに相談するのがおすすめです。
最初の相談先
- かかりつけ医: 普段の体調や服薬の状況を知っている医師に、物忘れが気になることを伝える。必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえる
- 地域包括支援センター: 高齢者の生活や介護の総合相談窓口。かかりつけ医がいない場合や、本人が病院に行きたがらない場合にも相談できる
地域包括支援センターについては、地域包括支援センターとはで詳しく整理しています。
受診先の選択肢
専門の病院には、どんな種類がありますか。
物忘れの相談や診断ができる医療機関には、次のようなものがあります。
物忘れの相談・診断ができる主な医療機関
- 物忘れ外来(メモリークリニック): 認知症の診療を専門にしている外来
- 精神科・神経内科: 大学病院や総合病院などで、認知症の診療を行っていることがある
- 認知症疾患医療センター: 都道府県などが指定する専門の医療機関。鹿児島県の案内では、認知症疾患に関する鑑別診断や初期対応、専門医療相談などを行うとされている
診療時間や診療内容は医療機関によって異なるため、受診前に電話などで確認してください。かかりつけ医からの紹介状があると、受診がスムーズになることがあります。
受診前にメモしておきたいこと
病院に行く前に、準備しておくことはありますか。
医師は、本人の様子だけでなく、日常生活の状況も詳しく知る必要があります。そのため、家族や身近な人の話が診察の助けになります。可能であれば同行して、次のような点を伝えられるようにしておきましょう。
受診前の準備
- 気になる変化が、いつごろから始まったかをメモする
- 変化のきっかけになりそうな出来事(入院、環境の変化など)があれば書いておく
- これまでの病気や治療の経過、服用中の薬を整理する(お薬手帳を持参する)
- 日常生活で困っている具体的な場面(例: 同じ話を繰り返す、物の置き場所を忘れるなど)を書き出す
服薬管理の工夫については、高齢者の飲み忘れ・服薬管理も参考になります。
診断までの流れ
受診したら、どんなことをするのですか。
医療機関によって異なりますが、一般的には、症状や生活の状況、これまでの病歴を確認する問診のあと、記憶などに関する診察や簡単な認知機能の検査が行われることがあります。あわせて、血液検査やCT・MRIなどの画像検査を行うこともあります。診断は、これらの結果をもとに医師が総合的に判断するため、検査の内容や回数は人によって異なります。
本人が受診を嫌がるとき
本人が「私はどこも悪くない」と言って、病院に行きたがりません。
家族が説得を続けて関係がこじれてしまうこともあるため、無理に連れて行こうとせず、まず地域包括支援センターに相談してください。自治体によっては、「認知症初期集中支援チーム」という仕組みがあります。
認知症初期集中支援チームとは
- 対象: 神奈川県の案内では「認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族」とされている
- 内容: 複数の専門職がチームで関わり、アセスメントや家族支援などの初期の支援を、おおむね6か月かけて集中的に行う
- 受診の支援: 医療サービスや介護サービスを受けていない人、受診を拒んでいる人も対象になる。適切な医療機関の受診に向けた動機づけを行い、受診に至るまで支援する
この仕組みは、設置状況や名称が自治体ごとに異なります。お住まいの地域で利用できるかどうかは、地域包括支援センターに確認してください。
どこに相談すればいい?
結局、誰に何を相談すればいいでしょうか。
迷ったときは、地域包括支援センターに、今の様子を具体的に伝えてください。かかりつけ医がいる場合は、あわせて相談しておくと連携がしやすくなります。また、家族だけで抱え込まないために、「認知症の人と家族の会」の電話相談など、家族向けの相談窓口もあります。厚生労働省の「認知症に関する相談窓口」のページで案内されています。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 最近こんな変化が気になっています。まず、どこに相談・受診したらいいですか?
- 近くに、物忘れ外来や認知症疾患医療センターはありますか?
- 本人が受診を嫌がっています。認知症初期集中支援チームは利用できますか?
- 受診の前に、家族としてやっておくことはありますか?
- 診断を受けたあと、使える介護サービスや相談窓口はどこですか?
まとめ
| 状況 | 相談・対応先 |
|---|---|
| まず相談したい | かかりつけ医、または地域包括支援センター |
| 専門の診断を受けたい | 物忘れ外来、精神科・神経内科、認知症疾患医療センター |
| 受診前の準備 | 変化の時期・きっかけ・病歴・服薬状況をメモし、家族が同行する |
| 本人が受診を嫌がる | 地域包括支援センターに相談し、認知症初期集中支援チームの利用を確認する |
| 家族の気持ちの相談 | 認知症の人と家族の会の電話相談など |
私が判断しなくてもいいと分かって、少し気持ちが楽になりました。まず地域包括支援センターに電話してみます。
はい。気になる変化があれば、診断がつく前でも相談して構いません。一人で抱え込まず、専門職と一緒に進めてください。