寝たきりの父を、もっとこまめに洗ってあげたいです。ベッドの上で洗える機器もあると聞きましたが、どれを選べばいいのでしょうか。
負担の大きさや費用、本人の状態によって、合うものが変わります。ここでは、ベッドの上で洗う方法と機器を並べて、費用・手間・向き不向きを比べます。機器の一つとして、スイトルボディも紹介します。
先に結論
- 洗髪だけなら、ケリーパッドや代用品で足りることが多い
- 体全体を清潔にしたい、介助者の負担が大きいときは、訪問入浴介護がまず選択肢になる
- 洗う頻度を増やしたい、準備や片付けが続かないときに、ベッド上で洗える機器を比べる
- 機器は費用が大きい。買う前に、ケアマネジャーと自治体の窓口で給付の可否を確認する
ベッドの上で洗う方法の比較
| 方法 | 費用の目安 | 準備の手間 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 蒸しタオルでの清拭 | ほぼなし | 小さい | 体調がすぐれない日、毎日の保清 | においが残ることがある(清拭だけだとにおいが残るとき) |
| ケリーパッド+バケツ | 商品による | 大きい(お湯の運搬と排水) | 髪だけ洗えればよい | 準備・片付けに20〜30分かかる目安の資料がある(洗髪の方法) |
| 訪問入浴介護 | 介護保険の自己負担(1回あたり、回数はケアマネジャーと相談) | 家族は小さい | 全身を清潔にしたい、介助の負担が大きい | 回数に限りがある(料金と回数) |
| ベッド上で洗える機器 | 機器による(下で一例) | 中(水の補給と片付け) | 洗う頻度を増やしたい | 費用が大きい。使う場面や本人の状態の確認が必要 |
ケリーパッドは安いので、まずそれで十分な気もします。
そのとおりです。髪を洗うことが目的で、準備を負担に感じていないなら、まずはケリーパッドで続けてください。機器を検討するのは、頻度を増やしたいのに続かない、介助者の腰や時間の負担が大きい、といったときです。
ベッド上で洗える機器の例: スイトルボディ
以下は、2026年10月10日に確認した販売元(株式会社Jアライアンス/シリウス)の公式サイトの記載です。仕様や価格は変わることがあるため、購入前に公式サイトで確認してください。
| 項目 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| 仕組み | 温水の噴射と汚水の吸引を同時に行い、寝たまま洗身・洗髪ができる |
| 使う水の量 | 全身で約1リットル(清水タンク約1.8L、汚水タンク約2L、専用ソープタンク約0.3L) |
| 所要時間 | 全身の洗身で約15分 |
| 水温 | 38〜45℃で設定可能(画像の説明には38〜42℃の記載もあり) |
| 電源・大きさ | AC100〜240V、消費電力350W。480×230×290mm、約5.5kg(水・ソープ・ACアダプターを除く) |
| 価格 | 本体206,800円(税込)。専用ソープ(900ml)3,300円(税込)。専用カート(別売)22,000円(税込) |
| 介護保険 | 現状は適用されていない |
| 自治体の給付 | 「障害児(者)日常生活用具給付事業」の指定を受けたとの記載がある。自治体によって補助や給付の可否が異なる |
合わない場合・確認しておくこと
- 費用が大きい(本体だけで約21万円)。1か月の訪問入浴の自己負担と、使う頻度や期間を比べてから検討する
- 公式サイトでは、陰部・指の間・脇の下はタオルで拭くことを勧めている。これ1台で全身が済むとは限らない
- 皮膚の状態や医療的な管理が必要な方は、先にかかりつけ医や訪問看護師に相談する
- 浴槽に入れる方、訪問入浴で足りている方には、不要なことがある
- 購入先は公式の正規販売のみが保証の対象とされている。購入できるのは、在宅介護をする個人(家族を含む)と施設・医療機関の関係者とされている
- 在庫は先着順で、入荷待ちになることがある
介護保険で買えたり借りたりできますか。
公式サイトでは、介護保険は現状では適用されていないとされています。自治体の「日常生活用具給付等事業」が使える場合があるとの案内もありますが、対象になるかは自治体によって異なり、要件があります。TAIS(福祉用具の情報システム)に登録されていることは、給付や補助金の対象であることを意味しません。まず、お住まいの市区町村の窓口かケアマネジャーに、「ベッド上で洗える機器は対象になりますか」と聞いてみてください。自治体ごとの入浴関連の制度は、お風呂・入浴のお悩みページから探せます。
能登半島地震で使われた話について
被災地で使われた話を見かけました。
販売元のサイトには、能登半島地震の際に石川県珠洲市の要請を受けて被災地に機器を持ち込み、二週間ほど入浴できていなかった人が多く、喜ばれたとの記載があります。使う水が約1リットルと少なく、断水時の備えとして案内されています。これは販売元のサイト上の記述で、このページでは第三者の検証までは確認できていません。防災の備えとして考える場合も、日常で使う頻度や費用を含めて検討してください。
運営者より
私の子どもが寝たきりだった時期があります。当時こうした機器があれば、髪をもっとこまめに洗ってあげられたかもしれない、夏は必要なところだけさっと洗ってすっきりさせてあげられたかもしれない、と今は思います。ただ、当時は使っていないので、これは想像です。合うかどうかは、本人の状態やご家庭の状況によって変わります。
どう選ぶか: 場面別の目安
| 状況 | 先に考えること |
|---|---|
| 髪を洗いたいが道具がない | ケリーパッドや代用品から始める(洗髪の方法) |
| 全身の清潔を、専門職に頼みたい | 訪問入浴介護をケアマネジャーに相談する |
| 家族が毎日、短時間で洗いたい | 機器を比べる。費用と給付の可否を先に確認する |
| 体調や皮膚に不安がある | かかりつけ医・訪問看護師に相談してから選ぶ |
| 入浴そのものを嫌がる | 方法より先に、理由と声かけを見直す(入浴を嫌がるとき) |
体や髪を洗う日は、口の中のケアを見直すきっかけにもなります。うがいが難しいときの方法はうがいができない人の口腔ケアで、用品の比較は口腔ケア用品の選び方で解説しています。
どこに相談すればいい?
機器を買う前に、ケアマネジャーに状況を話してください。訪問入浴の回数を増やせるか、福祉用具として使える制度があるかも、あわせて聞けます。自治体の給付は市区町村の障害福祉・高齢福祉の窓口、体の状態は訪問看護師やかかりつけ医が相談先です。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 訪問入浴の回数を増やすことはできますか?
- ベッド上で洗える機器は、自治体の日常生活用具の給付などの対象になりますか?
- 対象になる場合、申請の手順と、買う前にやっておくことは何ですか?
- 本人の皮膚や体調の状態から見て、機器で洗っても問題ないでしょうか?
- 機器を使う前に、一度、洗い方を見てもらえますか?
まとめ
| 状況 | 選択肢 | 窓口 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 髪だけ洗いたい | ケリーパッド・代用品 | 訪問看護師 | 準備の手間がある |
| 全身を清潔にしたい | 訪問入浴介護 | ケアマネジャー | 回数に限りがある |
| 頻度を増やしたい | ベッド上で洗える機器 | 市区町村の窓口・ケアマネジャー | 約21万円。介護保険は現状適用なし。自治体の給付は要確認 |
| 体調・皮膚が心配 | 先に相談 | かかりつけ医・訪問看護師 | 自己判断で始めない |
出典・参考
- スイトルボディ公式サイト (2026年10月10日確認): 使う水の量(全身で約1リットル)、水温、電源、寸法、価格(本体206,800円(税込))、介護保険は現状適用されていないとの記載、「障害児(者)日常生活用具給付事業」の指定、能登半島地震の記述、注意事項
- スイトルボディ「寝たきりでシャンプー洗髪できる最新機器」 (2026年10月10日確認): 所要時間15分程度、日常生活用具給付等事業の案内
- 販売元の記載のため、効果や所要時間は販売元の公表値です
- あわせて読みたい: 寝たきりの体を自宅で洗う方法 / 親をお風呂に入れられないときの選択肢

