家族

父は飲み込む力が弱くなっていて、うがいをさせると誤嚥しないか心配です。かといって口腔ケアをしないわけにもいかず、どうすればいいか分かりません。

編集部

その心配はもっともです。うがいができない方への口腔ケアには、誤嚥を防ぐための体位と道具の選び方があります。順に見ていきましょう。

なぜ誤嚥に気をつける必要があるのか

編集部

嚥下機能が低下していると誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。さらに、唾液の分泌が減って口の中の自浄作用が弱まると、細菌が繁殖しやすくなります。だからこそ、うがいができない状態でも口腔ケア自体は続ける必要がありますが、やり方には注意が必要です。

誤嚥を防ぐ体位

家族

寝たままケアするしかないのでしょうか。

編集部

できる範囲で上体を起こすのが基本です。頭側を挙上し、首を後ろに反らせないようにします。体調によって上体を起こせない場合は、横向き(側臥位)にして、口の中の水分が喉の奥に流れ込まないようにします。

⚠️ 仰向けのままの口腔ケアは避ける

仰向けのまま水を使ってケアをすると、誤嚥のリスクが高まります。体位を整えられない場合は、無理に水を使う方法をとらず、後述する水を使わない方法や、専門職への相談を優先してください。

使う道具: スポンジブラシとガーゼ

家族

歯ブラシではなく、別の道具を使うんですか。

編集部

うがいができない方には、スポンジブラシがよく使われます。水分を含ませすぎず、汚れをからめとるように使います。ケアの後は、ガーゼやスポンジブラシで口の中の水分をしっかり拭き取り、水分が喉に流れ込まないようにすることが誤嚥予防のポイントです。

基本の流れ

  1. 可能な範囲で上体を起こす(できなければ側臥位にする)
  2. スポンジブラシに少量の水を含ませ、口の中の汚れをやさしくからめとる
  3. 使うたびにブラシをすすぎ、清潔な状態で続ける
  4. ガーゼやスポンジブラシで口の中の水分をしっかり拭き取る
  5. 仕上げに保湿剤で乾燥を防ぐ

水を使わない方法という選択肢

家族

水を使うこと自体が怖いのですが。

編集部

誤嚥のリスクが高い方には、口腔ケア用のジェルで汚れを軟化させて拭き取る、水を使わない方法もあります。医療の現場では吸引器を併用する専門的な方法もありますが、家庭で行う場合は、うがいや通常の歯みがきが難しい方向けの口腔ケア用品(オーラバブルなど)を、水を使う量を抑える選択肢の一つとして検討できます。ただし、誤嚥のリスクが高い方への使用は自己判断せず、事前に専門職に相談してください。

どこに相談すればいい?

家族

どの程度までなら家庭でやっていいのか、判断が難しいです。

編集部

嚥下機能の状態によって安全なケアの方法は変わるので、訪問看護師や歯科衛生士、かかりつけ医に一度確認してもらうのが確実です。むせることが増えた、痰がからむ音が変わったなど、いつもと違う様子があれば、早めに相談してください。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 今の嚥下機能で、水を使う口腔ケアはどこまで安全ですか?
  2. 体位はこのやり方で合っていますか、一度見てもらえますか?
  3. 水を使わない口腔ケアの方法を教えてもらえますか?
  4. むせや痰がらみが増えた場合、どこに相談すればいいですか?
  5. 訪問歯科や歯科衛生士に来てもらうことはできますか?

まとめ

状況対応
うがいができないスポンジブラシ+水分の拭き取りで代用
誤嚥のリスクが高い上体を起こす、または側臥位にする
水を使うこと自体が不安水を使わない口腔ケア用品を検討(専門職に相談のうえ)
むせ・痰がらみが増えたかかりつけ医・訪問看護師に相談
家族

うがいができないからと諦めなくてもいいんですね。

編集部

はい。体位と道具を工夫すれば、うがいができなくても口腔ケアは続けられます。不安なときは、専門職に一度確認してもらいながら進めてください。

出典・参考