寝たきりの母の体を、毎日タオルで拭いています。冬になって、拭いている途中で寒くないか気になります。お湯や部屋は何度くらいにすればいいのでしょうか。
介護や看護の解説でよく示されている目安は、次のとおりです。数字には資料によって幅がありますが、どれも「体を冷やさない」ための工夫です。
清拭の温度と寒さ対策の目安
- お湯: 50〜55℃程度の熱めのお湯を用意する(50〜60℃とする資料もある)
- タオル: 体に当てる前に、介助する人の腕の内側に当てて熱すぎないか確かめる
- 部屋: 23〜25℃前後に暖め、すきま風が入らないようにする
- 拭き方: 拭く所だけ服を脱がせ、ほかはバスタオルで覆う。拭いたらすぐ乾いたタオルで水分を取る
- 時間: 手早く済ませる。寒がる、具合が悪そうなときは途中でやめる
お湯とタオルの温度は?
お風呂よりかなり熱いお湯を使うのですね。
はい。タオルを絞ったり体に当てたりする間に冷めるため、熱めに用意します。介護職向けの解説(マイナビ介護職)では、「50〜55℃の熱めのお湯を洗面器やバケツにはっておきます」とされ、途中で冷めることがあるので、お湯は準備の最後に用意するよう勧めています。介護用品メーカーのピジョンタヒラや介護ワーカーの解説では、50〜60℃程度としています。
熱すぎてやけどしないか心配です。
肌に当てる前に、必ず温度を確かめます。介護ワーカーの解説では、「利用者の体を拭く前に自分の肌(腕の内側)に当てて必ず確認をしましょう」とされています。お湯の温度より、肌に当たるタオルの温度が大切です。お湯が冷めてきたら、熱いお湯を足すか入れ替えてください。
蒸しタオルは、電子レンジで作る方法もあります。あずみ苑の解説では、蒸しタオルを「約50〜55℃のお湯か電子レンジで温め、ビニール袋などで保温します」とされています。電子レンジで温めたタオルは熱くなりすぎていることがあるので、同じように腕の内側で確かめてから使ってください。
部屋は何度にする?
部屋の温度はどのくらいがいいですか。
資料によって少しずつ違いますが、23〜25℃前後とするものが多いです。マイナビ介護職と介護ワーカーは23〜25℃前後、あずみ苑は25度くらい、ピジョンタヒラは25℃前後としています。ベッドの上での洗髪について、訪問看護の解説では24〜26℃が目安とされています。
| 資料 | 部屋の温度の目安 |
|---|---|
| マイナビ介護職 | 23〜25℃前後 |
| 介護ワーカー | 23〜25℃前後 |
| あずみ苑 | 25度くらい |
| ピジョンタヒラ | 25℃前後 |
| ナースプラス(訪問看護での床上洗髪) | 24〜26℃ |
温度だけでなく、風にも気をつけます。あずみ苑の解説では、「すきま風がはいらないように気をつけます」とされ、介助者の手も温めておくよう書かれています。
寒くさせない拭き方
拭き方でも寒さは変わりますか。
変わります。どの資料でも共通しているのは、「肌を出す時間と範囲を少なくする」「ぬれたままにしない」の2点です。
寒くさせない清拭の流れ
- 部屋を暖め、窓やカーテンを閉めておく
- 着替え、乾いたタオル、バスタオルを手の届く所に用意してから、最後にお湯を用意する
- 拭く所の服だけ脱がせ、ほかの部分はバスタオルで覆っておく
- 温かいタオルで拭いたら、すぐに乾いたタオルで水分を拭き取り、バスタオルで覆う
- 背中など寒さを感じやすい所は、バスタオルをずらしながら少しずつ拭く
- 拭き終わったら、体が冷えないうちに服を着せる
ぬれたままにしない理由について、ピジョンタヒラの解説では、拭いたあとそのままにすると「水分が蒸発する際に皮膚の温度を下げてしまい、冷えにつながることがある」とされています。
時間も大切です。マイナビ介護職の解説では、室内の温度を適温に保つことや「10分以内の時間短縮に努める」ことが挙げられています。慣れないうちは、全身を一度に拭こうとせず、今日は上半身、明日は下半身というように分けても構いません。あずみ苑の解説でも、体調などで一度に全身を拭けないときは、部分清拭を数日に分けて行うよう勧めています。
冬に気をつけること
冬ならではの注意はありますか。
時間帯を選ぶことです。マイナビ介護職の解説では、季節によっては冷え込む朝や夜を避け、暖かい日中に行うのもよいとされています。
⚠️ こんなときは途中でやめて相談を
拭いている途中で、寒がる、具合が悪そうなど、いつもと違う様子があれば、無理に続けずに中止して体を温めてください。介護ワーカーの解説でも、様子を必ず確認し、具合が悪くなったら中止するよう書かれています。様子が戻らないときや心配なときは、かかりつけ医や訪問看護に相談してください。
皮膚が弱い方について、あずみ苑の解説では、タオルで強くこすらず「そっとあてる程度で十分です」とされています。肌の乾燥やかゆみ、赤みが気になるときは、訪問看護師やかかりつけ医に相談してください。
洗髪のときに寒くさせないために
髪を洗うときも寒くないか心配です。
洗髪も同じ考え方です。部屋を暖めておき、首まわりや肩をタオルで覆い、洗い終わったらすぐに水気を拭き取って乾かします。ベッドの上での洗髪の準備や手順は、ベッドの上で髪を洗う方法で紹介しています。お湯が使いにくい日は、水のいらないシャンプーや拭き取りで済ませる方法もあります。
寒さが心配で回数を減らしたくなったら
寒そうなので、拭く回数を減らしてしまいそうです。
全身を拭くのが大変な日は、ほかの方法と組み合わせることもできます。
- 部分浴(手浴・足浴): 手や足だけをお湯につけて洗う。千葉県のよくある質問(千葉県立保健医療大学の回答)では、寝たままで足を洗う足浴について、お湯の温度を「38から40℃」で用意するとしています。方法は手浴・足浴のやり方で紹介しています
- 訪問入浴: 浴槽を家に運び入れて入浴する介護保険のサービス。料金は訪問入浴介護の料金はいくら?で紹介しています
- ベッドの上で洗う: 移動せずに体や髪を洗い流す方法や機器もあります。ベッド上で体を洗い流す機器の選び方で比べています
清拭の基本の手順と、拭くだけでは難しくなってきたときの選択肢は、寝たきりの体を自宅で洗う方法にまとめています。
どこに相談すればいい?
拭き方や温度に不安があるときは、訪問看護を使っている方は訪問看護師に、そうでない方はケアマネジャーに相談すると、実際の様子を見て助言してもらえることがあります。体調の変化が気になるときは、かかりつけ医に相談してください。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 清拭のお湯やタオルの温度は、本人の肌の状態に合っていますか?
- 冬の間、部屋は何度くらいにして、何時ごろに拭くのがよいですか?
- 寒がるときや震えるときは、どうすればよいですか? 中止する目安を教えてください。
- 一度に全身を拭けないときは、どこを優先して拭けばよいですか?
- 訪問看護や訪問入浴で、体を洗うのを手伝ってもらうことはできますか?
まとめ
| 項目 | 目安・方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| お湯 | 50〜55℃程度(50〜60℃とする資料も) | 冷めたら足す・入れ替える。お湯は準備の最後に |
| タオル | 腕の内側で確かめてから肌に当てる | 電子レンジで温めたタオルは熱くなりすぎることがある |
| 部屋 | 23〜25℃前後(資料により25℃前後、洗髪では24〜26℃) | すきま風が入らないように |
| 拭き方 | 拭く所だけ出し、拭いたらすぐ乾かして覆う | ぬれたままにしない。手早く |
| 冬 | 暖かい日中に。部分清拭を数日に分けてもよい | 寒がる・具合が悪そうなときは中止し、相談する |
| 相談先 | 訪問看護師、ケアマネジャー、かかりつけ医 |
お湯の温度だけでなく、部屋や拭き方でも寒さが変わるのですね。今夜から試してみます。
はい。数字は目安なので、本人が「寒い」「熱い」と感じていないか、声をかけながら合わせていってください。

