家族

実家の脱衣所が寒く、親がお風呂に入るときが心配です。暖房器具を買ったほうがいいのでしょうか。

編集部

まずは入浴前に脱衣所と浴室を暖める準備から考えましょう。家庭でできる工夫を試し、足りなければ暖房器具、工事や設備の順に検討する方法があります。

脱衣所が寒いときに確認すること

  • 今日からの工夫:入浴前に浴室を暖め、家族で声をかけ合う
  • 暖房器具:置く場所、水濡れ、衣類との距離、通り道を確かめて選ぶ
  • 工事・設備:窓などの断熱改修や暖房設備について、事業者と自治体の窓口に相談する

消費者庁は部屋との温度差に注意を促し、「入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。」と呼びかけています。消費者庁の注意喚起

なぜ脱衣所の寒さに気をつけるのか

家族

浴槽のお湯が温かければ、それでよいわけではないのですね。

編集部

消費者庁の資料では、入浴前に脱衣所や浴室を暖め、部屋との温度差をなくすことが大切だとされています。岐阜県もヒートショックについて注意を呼びかけ、脱衣所や浴室への暖房器具の設置や断熱改修を挙げています。お湯だけでなく、服を脱ぐ場所も確認したいところです。消費者庁の資料・岐阜県の案内

編集部

ここでは脱衣所の設定温度を一律には示しません。体調や持病のため入浴に不安があるときは、主治医・かかりつけ医に相談してください。

今日からお金をかけずにできること

家族

器具を買う前に、家で試せることはありますか。

編集部

消費者庁は、暖房設備がない場合の浴室の暖め方として、「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯すると、蒸気で浴室の温度が上がります。」と案内しています。あわせて「浴槽の蓋を外しておくことも良いでしょう。」としています。

編集部

いずれも入浴前の浴室の工夫で、脱衣所まで十分に暖まるとは限りません。消費者庁の資料

入浴前に家族で確認する流れ

  1. 既設の暖房があれば、取扱説明書に沿って入浴前に脱衣所や浴室を暖める
  2. 浴室に暖房がなければ、シャワーでの湯はりや浴槽の蓋を外す工夫を検討する
  3. 脱衣所も暖まっているか、本人が寒がっていないか確かめる
  4. 入浴することを家族に伝え、見回ってもらう
編集部

新しい器具を買わずに始められる工夫ですが、湯や暖房を使う分の光熱費はかかります。寒さが残るときに、熱いお湯や長湯で補おうとしないでください。湯温と時間の公的な目安は、後の「入浴前後に家族ができること」で紹介します。

脱衣所の暖め方を比べる

選択肢費用の目安向く人合わない人や場面注意
家庭の工夫新規購入なしで始める場合も光熱費は必要既設設備や湯はりの方法を見直したい人工夫だけでは脱衣所の寒さが残る家浴室と脱衣所を別々に確認する
小型ヒーター購入先で価格、契約先で電気料金を確認安全な置き場所を確保できる人通り道や水のかかる場所しか空いていない家衣類・コード・消し忘れを確認する
壁掛けなどの脱衣所用暖房機事業者の見積もりで確認床に置かない設置方法を相談したい人取付けや電源の条件を満たせない家設置条件と操作のしやすさを確認する
浴室暖房乾燥機事業者の見積もりで確認浴室側の設備を見直したい人設置条件や工事の承諾を確認できていない家脱衣所も暖められるとは限らないため、暖房の範囲を確認する
窓や壁の断熱改修事業者の見積もりで確認設備とともに住まいの寒さを相談したい人工事が難しい、承諾を得られない住まい工事範囲、費用、助成の対象を着工前に確認する
家族

小さいヒーターなら、どの家でも使いやすいと思っていました。

編集部

大きさだけで決めず、着替えや介助をする場所に置けるか考えましょう。上の表の「向く人」は検討の入口で、設置や安全を保証するものではありません。壁掛けや浴室の設備は、現地で事業者に設置条件を確かめてもらってください。

編集部

岐阜県は暖房器具の設置と窓まわりの断熱改修を挙げていますが、どれかを選べば入浴時の心配がなくなる、という意味ではありません。器具の価格や電気代は、機種や使い方、契約で確認しましょう。岐阜県の案内

暖房器具を置くときの安全

暖める前に、置き場所と使い方を確認

  • やけど・衣類:消費者庁は「脱衣所等で暖房器具を使用するときは火事や熱傷に気を付けましょう。」と注意しています。着替えや介助で器具に近づく場面も考えてください。
  • 可燃物:NITE(製品評価技術基盤機構)は「洗濯物や布団など可燃物の近くで使用するとそれらが発火するおそれがあります。」としています。タオルや衣類を乾かすために近づけないでください。
  • 転倒・通り道:埼玉県は「ストーブは平らで安定した場所に設置し、周囲に布団やカーテンなどの可燃物がないことを確認してください。」としています。家族でも、本人や介助者が器具・コードをまたがずに通れるか確認しましょう。
  • コード:埼玉県は「延長コードは使用せず直接コンセントに差し込み使用しましょう。」と案内しています。届かないからと延長して使う前に、取扱説明書を確認してください。
  • 水濡れ:消防庁は電気製品について「バスルーム、ベランダ、流し台、洗面台など、水のかかりやすい場所には置かないようにしましょう。」としています。置き型ヒーターを浴室に持ち込まず、脱衣所でも水のかかる位置を避けてください。
  • つけっぱなし:埼玉県は「外出時や部屋から離れる場合は必ず電源を切りましょう。」としています。使い終わったあとの電源確認を家族で決めておきましょう。

出典:消費者庁・NITE・埼玉県・消防庁

編集部

安全上の注意は器具の種類によって異なります。取扱説明書で使用場所や周囲との距離を確認し、安全な置き場所がなければ置き型以外の方法を相談してください。

住まいの条件別の考え方

家族

実家は窓があり、寒い廊下に脱衣所が面しています。どこを直せばよいでしょうか。

編集部

窓がある場合、岐阜県は「窓まわりは熱が逃げやすいので、内窓を設置するなどの断熱改修も効果があります。」と案内しています。窓だけを直すか、壁なども含めるかは、現地を見てもらって相談しましょう。岐阜県の案内

編集部

廊下に面している場合は、脱衣所までの移動経路も工事の相談時に伝えてください。扉を開けるだけで暖まるかは住まいによるため、ここでは一律に勧めません。賃貸の場合は、設備の取付けや内窓工事を進める前に、管理会社・貸主に実施してよい範囲を確認しましょう。

工事や設備を考えるとき

家族

親のための工事なら、介護保険で暖房を付けられますか。

編集部

厚生労働省が介護保険の住宅改修の対象として示しているのは、次の工事です。暖房設備の設置や断熱改修は、この一覧に独立した対象工事としては示されていません。厚生労働省「福祉用具・住宅改修」

  • 「手すりの取付け」
  • 「段差の解消」
  • 「滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更」
  • 「引き戸等への扉の取替え」
  • 「洋式便器等への便器の取替え」
  • 「その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修」

介護保険を検討する工事は、着工前に相談を

厚生労働省は「施工前と施行後にそれぞれお住まいの自治体に申請をしてください。」と案内しています。暖房・断熱と手すり・段差の工事を一緒にする場合も、どの部分が対象になるかをケアマネジャーと自治体の介護保険窓口に確認してください。

編集部

介護保険とは別の住まいの助成については、制度の有無や対象、申請手順が自治体によって異なります。自治体の住宅・リフォーム相談窓口に、使える制度があるか尋ねてください。手すりや段差の工事は介護保険の住宅改修でも紹介しています。

入浴前後に家族ができること

家族

暖房以外に、親と決めておくことはありますか。

編集部

消費者庁は「入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。」と呼びかけています。入浴することを伝え、家族が見回る段取りを相談しましょう。一人暮らしなどで家族がその場にいられない場合は、入浴の支援も含めてケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。消費者庁の注意喚起

編集部

湯温と時間については、消費者庁の「湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。」という案内があります。さらに「浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。」としています。

編集部

数字は目安であり、その範囲なら誰でも安心という保証ではありません。消費者庁の注意喚起

編集部

寒さや体調の不安がある日に、無理に浴槽へ入ることを目標にしなくても構いません。入浴の回数は高齢者の入浴頻度、浴槽に入らない日の考え方は高齢者がシャワーだけで済ませるときも参照してください。

編集部

家族だけの介助が難しければ、親をお風呂に入れられないときの選択肢もあります。脱衣所までの通り道や足元に不安があれば、高齢者の転倒対策も確認してみてください。

どこに相談すればいい?

家族

工事と親の入浴のことを、誰に聞けばよいでしょうか。

編集部

入浴の介助や見守りは、担当のケアマネジャーへ相談してください。担当者がいなければ、地域包括支援センターに相談先を尋ねる方法があります。体調や持病と入浴の関係は、主治医・かかりつけ医に確認しましょう。

編集部

工事や助成については、自治体の介護保険窓口や住宅・リフォーム相談窓口へ相談します。設備の設置条件や工事費は施工事業者に、賃貸の工事の承諾は管理会社・貸主に確認してください。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 脱衣所と浴室が寒いのですが、親の体調に合わせて入浴時に気をつけることはありますか?
  2. 家族が入浴中の見回りをできない場合、使える支援はありますか?
  3. 通り道をふさがず、水や衣類から離して暖房を使える場所はありますか?
  4. 暖房・断熱と手すり・段差の工事を考えています。介護保険の対象部分と、着工前の手続きを教えてください。
  5. 自治体に寒さ対策の工事で使える助成はありますか? 対象条件と、契約・着工前に必要な手続きを教えてください。

まとめ

制度名・相談内容窓口注意点公式リンク
入浴前の寒さ対策体調の不安はかかりつけ医、介助はケアマネジャー・地域包括支援センター脱衣所と浴室を暖め、家族で声をかけ合う消費者庁
暖房器具の安全使用条件は取扱説明書・購入先、不安は消費生活センター水濡れ、衣類、コード、消し忘れを確認する埼玉県
介護保険の住宅改修ケアマネジャー・自治体の介護保険窓口暖房設備を一律に対象と考えず、着工前に対象工事を確認する厚生労働省
断熱改修・自治体独自の助成の確認施工事業者・居住地の自治体の住宅相談窓口自治体によって異なります。リンクは断熱改修の考え方で、助成の案内ではありません岐阜県
家族

浴室を暖める準備から始めて、脱衣所の置き場所や工事は相談してみます。

編集部

はい。親御さんの体調と家の条件に合わせて、続けられる方法を一緒に考えていきましょう。家族だけで難しいところは、質問メモを使って相談してください。

出典・参考