最近、父が家の中でつまずくことが増えてきました。大きなケガをする前に何か対策をしたいのですが、何から始めればいいでしょうか。
高齢者の転倒は、骨折をきっかけに要介護状態につながることも多く、早めの対策が大切です。まず起こりやすい場所と時間帯を知ったうえで、今すぐできる対策を整理します。
転倒・骨折は要介護になる主な原因の一つ
転倒は、そんなに大きな問題になるのでしょうか。
厚生労働省の国民生活基礎調査(令和4年)によると、要介護状態になった原因の第3位が「骨折・転倒」で13.0%、要支援状態になった原因でも第3位で16.1%を占めています。加齢による筋力やバランス能力の低下が転倒の大きな要因とされており、決して珍しいことではありません。
家の中で転倒しやすい場所
特に注意したほうがいい場所はありますか。
家庭内では、浴室・脱衣所、玄関、階段、トイレ、廊下、寝室(ベッド・布団の周り)などで転倒が多く報告されています。
場所別の主な危険要因
- 玄関: 靴の脱ぎ履き時にバランスを崩しやすい
- 廊下・部屋の境目: 薄いカーペットや畳の縁など、わずかな段差につまずきやすい
- 浴室・脱衣所: 床が滑りやすく、温度差でふらつくこともある
- トイレ・寝室: 夜間や起床直後、体が完全に覚醒していない状態で移動する
夜間・起床時は特に注意
父も夜中にトイレに起きたときが心配です。
夜間のトイレや起床直後は、体がまだしっかり覚醒しておらず、転倒事故が起きやすいタイミングとされています。急に立ち上がらず、ベッドの端に座って体を慣らしてから歩き出す、といった段階的な動作を意識するだけでもリスクを減らせます。「自分は転びやすくなっている」という自覚を持つこと自体が、対策の第一歩になります。
今すぐできる対策
大掛かりな工事をしなくても、できることはありますか。
まずは費用をかけずにできることから始められます。
今日から見直せるポイント
- 廊下や部屋の境目にある小さな段差、電気コード、じゅうたんの端を片付ける
- 寝室からトイレまでの動線に、足元を照らすフットライトや人感センサー付きの常夜灯を設置する
- 滑りにくい靴・スリッパに替え、靴下だけで歩くのを避ける
- 浴室・脱衣所に滑り止めマットを敷く
- よく使うリモコンや物は、無理に手を伸ばさなくていい位置に置く
住宅改修や福祉用具も選択肢に
それでも不安な場合は、どうすればいいですか。
手すりの設置や段差の解消は、介護保険の住宅改修を使って費用を抑えられる場合があります。詳しくは介護保険の住宅改修で整理しています。歩行に不安がある場合は、歩行器や杖の活用も有効です。要介護度にかかわらずレンタルできる場合が多いので、歩行器・杖の選び方もあわせてご覧ください。
どこに相談すればいい?
まず誰に相談すればいいでしょうか。
すでにケアマネジャーがいる方は、家の中で不安に感じる場所を具体的に伝えてください。理学療法士や作業療法士による訪問リハビリで、自宅の環境を見ながら助言をもらえる場合もあります。まだケアマネジャーがいない方は、地域包括支援センターに相談してください。
相談時にそのまま使える質問メモ
- 家の中で、特に危険な場所を見てもらえますか?
- 住宅改修の対象になりそうな箇所はありますか?
- 歩行器や杖は、今の状態だと使ったほうがいいですか?
- 転倒予防のための運動やリハビリは受けられますか?
- 夜間の動線について、具体的な改善案はありますか?
まとめ
| 場所・場面 | 主な対策 |
|---|---|
| 玄関 | 靴の脱ぎ履き時に座れる椅子や手すりを用意する |
| 廊下・部屋の境目 | 段差・コード・敷物の端を片付ける |
| 浴室・脱衣所 | 滑り止めマットを敷き、手すりを検討する |
| 夜間・起床時 | 足元の照明を確保し、段階的にゆっくり動く |
| 歩行に不安がある | 歩行器・杖のレンタルを検討する |
できることから今日にでも見直してみます。
はい。小さな対策の積み重ねが、大きなケガを防ぐことにつながります。不安な場所があれば、遠慮なくケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。