家族

母がおむつを何度も外してしまいます。シーツや服が汚れていて、片付けに追われています。何度注意しても直りません。

編集部

それは多くのご家族が経験する困りごとです。実は「言うことを聞かない」というより、外すこと自体に本人なりの理由があることがほとんどです。まず、この記事でわかる選択肢の全体像を確認しましょう。

この記事でわかる選択肢の全体像

  • 外してしまう理由の考え方(身体的な不快感・心理的な抵抗感・サインの見逃し)
  • 家庭でできる工夫(問い詰めない・記録をとる・呼び方や衣類を見直す)
  • 制度・給付(紙おむつ代の自治体助成・日常生活用具給付等事業)
  • 用具という選択肢(ポータブルトイレ・外れにくい衣類)
  • 相談先と、そのまま使える質問メモ

まず、外してしまう理由を考える

家族

なぜ何度も外してしまうんでしょうか。

編集部

考えられる理由はいくつかあります。おむつの中は蒸れやすく、長時間つけていると肌がかぶれたり、かゆみが出たりします。「トイレでするもの」という長年の習慣から、おむつをつけていること自体に抵抗を感じている場合もあります。そしてもう一つ、見落とされやすいのが「サイン」としての行動です。

家族

サイン、というのはどういうことですか。

編集部

国立長寿医療研究センターが公開している認知症介護の相談事例では、排泄物の処理をめぐるトラブルについて、便が出るときのサインを早期に見つけることの大切さが紹介されています。おむつを触る・いじる仕草は、「出た」「出そう」という気持ちを言葉にできない代わりのサインであることも少なくありません。

⚠️ 問い詰めることは避ける

「どうして外したの」と問い詰めると、本人は理由をうまく説明できず、混乱や強い不安を感じてしまうことがあります。国立長寿医療研究センターのQ&Aでも、認知症の人への接し方の基本として、訂正や否定的な表現ではなく肯定的な表現を用いることが示されています。まずは肌の状態や汚れの有無を静かに確認する姿勢が大切です。

家庭でできる工夫

家族

具体的には、何から始めればいいですか。

編集部

3つの工夫から試してみることをおすすめします。

今日から試せる3つの工夫

  • 排泄の時間帯を数日記録し、パターンをつかむ(トイレ誘導のタイミングを合わせやすくなります)
  • 「おむつ」という言葉に抵抗がある場合は「紙パンツ」「下着」など受け入れやすい呼び方に変える
  • 着脱しにくい衣類(うしろ開きの服など)を、必要な場面に限って活用する
編集部

国立長寿医療研究センターのQ&Aでは、トイレ誘導がうまくいかない場合の対応として、排尿時間を数日記録してペースを把握すること、本人の排尿前のサイン(「落ち着きがない」「ズボンのすそに手をやっている」など)を観察することが紹介されています。同じ考え方は、おむつを外してしまう場面にも応用できます。

家族

衣類を工夫するのは、少し気が引けます。

編集部

その感覚は大切にしてください。着脱しにくい衣類は、本人の自由を制限する面もあります。他の工夫を試したうえで、夜間だけ、外出時だけなど、場面を限定して使うくらいの位置づけで考えることをおすすめします。

使える制度・用具

家族

費用の面でも負担が大きいです。何か使える制度はありますか。

編集部

多くの自治体で、在宅の高齢者や障害のある方を対象に紙おむつ代の助成・給付を行っています。外れにくいタイプや消臭パンツなど、選択肢を増やすことで対応の幅が広がります。制度の仕組みは紙おむつ代の自治体助成と介護保険との違いにまとめていますので、あわせてご覧ください。

家族

排泄そのものの用具についてはどうですか。

編集部

要介護認定を受けている方は、ポータブルトイレなどを介護保険の特定福祉用具販売で購入できる場合があります。自己負担の割合は所得によって異なります。障害福祉サービスを利用している方は、日常生活用具給付等事業の対象になることもあります。

⚠️ 自治体によって内容が異なります

紙おむつ代の助成や日常生活用具給付は、対象条件・支給内容が自治体ごとに異なります。この記事の内容は一般的な仕組みの説明です。お住まいの自治体の制度は「排泄」で使える制度・用具から確認してください。

どこに相談すればいい?

家族

工夫を試しても状況が変わらない場合は、どうすればいいですか。

編集部

次のようなサインがあれば、一人で抱え込まず専門職に相談してください。

専門職への相談を検討したいサイン

  • 肌トラブル(かぶれ・湿疹)が改善しない
  • 便をいじってしまう行動が続いている
  • 対応の工夫を試しても状況が変わらず、介護の負担が大きくなっている
編集部

すでにケアマネジャーがいる方はケアマネジャーへ、まだ介護保険を使っていない方は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」が最初の窓口です。厚生労働省は、認知症に関する相談窓口として「認知症の人と家族の会」による電話相談も案内しています。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. おむつを外してしまう行動には、どんな原因が考えられますか?
  2. 肌トラブルがある場合、受診の目安を教えてください
  3. ポータブルトイレや外れにくい衣類は、介護保険や自治体の制度で用意できますか?
  4. うちの自治体の紙おむつ助成は、どんな条件で使えますか?
  5. 対応の工夫を続けても状況が変わらない場合、次にどこへ相談すればいいですか?

まとめ

状況主な選択肢相談先
理由がわからず困っている排泄の記録をとり、サインを観察する(自己対応。国立長寿医療研究センターのQ&Aも参考に)
呼び方や衣類を見直したい「紙パンツ」等への言い換え、着脱しにくい衣類の活用(自己対応)
おむつ代の負担を減らしたい紙おむつ代の自治体助成お住まいの自治体窓口
排泄用具を用意したいポータブルトイレ(特定福祉用具販売・日常生活用具給付)ケアマネジャー・区市町村の福祉窓口
状況が変わらない専門職への相談ケアマネジャー・地域包括支援センター
家族

「言うことを聞かない」わけじゃなかったんですね。少し気持ちが楽になりました。

編集部

おむつを外す・いじる行動には、本人なりの理由があります。この記事の質問メモを持って、まずは一度、ケアマネジャーか地域包括支援センターに相談してみてください。

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