父は要介護3で、人工呼吸器も使っています。近くの避難所に行っても、うまく過ごせる気がしません。福祉避難所というものがあると聞いたのですが、うちも対象になるのでしょうか。
福祉避難所は、まさにそうした状況の方のために用意されている避難施設です。まず、この記事でわかる選択肢の全体像を確認しましょう。
この記事でわかる選択肢の全体像
- 福祉避難所とは何か、一般の指定避難所との違い
- 対象になる可能性がある人
- 利用するまでの流れ(個別避難計画との関係)
- 自治体の制度・相談先
- 相談時にそのまま使える質問メモ
福祉避難所とは、一般の避難所と何が違うのか
そもそも、普通の避難所とは何が違うんですか。
内閣府(防災担当)の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では、福祉避難所は「主として高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者を滞在させることが想定される」避難施設と定義されています。一般の指定避難所と異なり、介護や医療相談を受けられる空間や、専門的な人材による支援体制の確保が想定されている点が特徴です。
うちの父のような場合は、対象になりますか。
ガイドラインでは、受入対象となる者として、身体障害者・知的障害者・精神障害者、一人暮らしなどの高齢者、人工呼吸器や酸素供給装置を使用している在宅の難病患者、医療的ケアを必要とする人、妊産婦や乳幼児などが挙げられています。お父様のケースは、対象になる可能性が高いと考えられます。ただし、実際にどの施設が対象者をどこまで受け入れるかは、自治体ごとに定められています。
⚠️ 直接、福祉避難所に避難できるとは限りません
福祉避難所への避難は、原則としてまず指定避難所に避難したうえで、自治体が必要性を判断して福祉避難所に移送する運用が基本とされています。個別避難計画が事前に作成されている場合は、自宅などから直接、福祉避難所に避難できるケースもあります。お住まいの自治体の運用を事前に確認しておくことが大切です。
利用するために、今からできること
災害が起きてから慌てないために、今何をしておけばいいですか。
内閣府によると、平成25年の災害対策基本法改正で、市町村には避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられました。さらに令和3年の改正では、名簿に載っている方について、一人ひとりの避難方法をまとめた「個別避難計画」を作成することが市町村の努力義務とされています。
今のうちにできる3つの備え
- お住まいの市区町村に、避難行動要支援者名簿への登録を確認・申請する
- ケアマネジャーや相談支援専門員に、個別避難計画がすでにあるかを相談する
- 自宅から避難する場合の経路と、福祉避難所として指定されている施設をあらかじめ確認しておく
名簿への登録や、停電・断水時の備えについては在宅介護の停電・断水対策でも詳しく解説しています。あわせて確認しておくと安心です。
自治体の制度・相談先
実際に相談するのは、どこがいいですか。
すでにケアマネジャーや相談支援専門員がいる方は、まずその方に相談してください。ふだんの生活状況をよく知る専門職の視点は、個別避難計画を実際に使えるものにするうえで役立ちます。まだ関わりのある専門職がいない方は、市区町村の福祉部局や防災担当窓口、地域包括支援センターが相談先になります。
実際の指定の例として、横浜市神奈川区では、社会福祉施設との協定にもとづいて福祉避難所を指定しています。このように、どの施設と協定を結び、どの範囲の方を受け入れるかは自治体ごとに異なります。
⚠️ 対象者・施設・手続きは自治体によって異なります
福祉避難所として指定される施設や、受入対象の具体的な基準、事前登録の手続きは、市区町村ごとに異なります。この記事の内容は一般的な仕組みの説明です。お住まいの自治体の制度は「災害・停電・断水」で使える制度・用具から確認してください。
相談時にそのまま使える質問メモ
- うちの家族は、福祉避難所の対象になりますか?
- 個別避難計画は、もう作成されていますか? まだの場合、どう進めればいいですか?
- 福祉避難所には、自宅から直接避難できますか? それとも指定避難所を経由しますか?
- 避難行動要支援者名簿には登録されていますか?
- 実際にどの施設が福祉避難所に指定されているか教えてください
まとめ
| 状況 | 主な選択肢 | 相談先 |
|---|---|---|
| 対象になるか知りたい | 受入対象の基準を確認する | 市区町村の福祉部局・防災担当窓口 |
| 事前の備えをしたい | 避難行動要支援者名簿への登録、個別避難計画の作成 | ケアマネジャー・相談支援専門員 |
| 停電・断水への備えも知りたい | ローリングストック、医療機器の電源確保 | 在宅介護の停電・断水対策 |
| 施設の場所を確認したい | 福祉避難所の指定状況 | 市区町村の防災担当窓口 |
「普通の避難所は難しそうだ」と諦めていましたが、選択肢があるとわかって少し安心しました。
福祉避難所は、災害が起きてから調べるのでは間に合わないことも多い制度です。この記事の質問メモを持って、まずは一度、ケアマネジャーか市区町村の窓口に相談してみてください。