家族

子どもの歯磨きをしようとすると、歯ブラシを強く噛んでしまいます。無理に引き抜くのも怖くて、どうすればいいか分かりません。

編集部

それは「咬反射(こうはんしゃ)」と呼ばれる、体が自然に起こす反応であることが多く、わがままや問題行動ではありません。まず噛まれたときの対応、そのうえで段階的に慣れてもらう工夫を整理します。

なぜ噛んでしまうのか

家族

どうしてそんなに強く噛んでしまうのでしょうか。

編集部

脳性まひなど脳のコントロールが働きにくい状態では、口腔ケア中に器具を噛んでしまうことがあります。健常な方でも、口を強制的に開けようとされると反射的に閉じてしまうことがあるとされています。発達に特性のあるお子さんの場合は、感覚過敏で歯ブラシの感触自体を強く嫌がったり、力加減が難しかったり、集中が続かなかったりと、理由が重なっていることも多いです。

噛まれてしまったときの対応

家族

実際に噛まれてしまったら、どうすればいいですか。

編集部

無理に引き抜こうとしないことが大切です。

⚠️ 無理に引き抜かない

無理やり口をこじ開けようとすると、むし歯や歯周病のある歯、差し歯やブリッジなどが折れたり抜けたりすることがあります。まずは慌てず、顔や顎の力が自然に抜けるのを待ってください。

編集部

顔まわりや口のまわりを優しくマッサージして、噛む力の元になる筋肉(咬筋)をほぐしてあげると、力が抜けやすくなることがあります。

段階的に慣れてもらう工夫

家族

毎回噛まれるのが怖くて、歯磨き自体を避けたくなります。

編集部

いきなり口に触れようとすると、身構えて余計に噛んでしまうことがあります。口から離れた肩や頬に触れることから始め、少しずつ口に近づけていく「脱感作」という進め方があります。

段階的に慣れてもらう進め方の例

  1. 肩や腕など、口から離れた場所に触れる
  2. 慣れてきたら頬に触れる
  3. 口角(口の端)に触れる
  4. 指で口の中に軽く触れる(嫌がらなければ)
  5. 歯ブラシなど道具を使う
編集部

手や指で口の中に触れる「手添え磨き」を行う場合は、10秒から30秒程度の短い時間にとどめておくと、負担をかけすぎずに続けやすくなります。

道具の工夫

家族

歯ブラシ以外に、使える道具はありますか。

編集部

歯ブラシよりも刺激の弱いガーゼから始める方法もあります。歯磨き粉の味に興味を示す場合は、味付きのフッ素ペーストを使うと、刺激をやわらげられることがあります。

編集部

どうしても口が閉じてしまい歯磨きが進まない場合、開口器(バイトブロック)を使う方法もありますが、これは最後の手段として、歯科医師の指導のもとで行ってください。前歯で強く噛むと歯が折れる危険があるため奥歯で噛むようにする必要があり、使用中は呼吸がしづらくなることもあるため、自己判断での使用は避けてください。

障害の特性に合わせた工夫

家族

子どもの特性によって、工夫の仕方は変わりますか。

編集部

はい。特性によって効果的な工夫は異なります。

特性別の工夫の例

  • 決まった時間・場所・道具で毎回同じ流れにすると習慣化しやすい場合がある
  • テレビなど気が散るものを遠ざけ、タイマーで終わりの見通しを立てると集中しやすい場合がある
  • 力加減が難しい場合は、短時間・部分磨きから始め、少しずつ範囲を広げる
編集部

どの工夫が合うかは一人ひとり違うため、うまくいかない場合は無理に続けず、別のやり方を試してみてください。

どこに相談すればいい?

家族

家庭での工夫だけでは難しいと感じたら、どこに相談すればいいですか。

編集部

訪問歯科診療や歯科衛生士に相談すると、実際の様子を見ながら安全な方法を提案してもらえます。まだ訪問歯科を利用していない方は、相談支援専門員やケアマネジャーに相談すると窓口を紹介してもらえます。開口器の使用を検討する場合も、自己判断せず歯科医師に相談してください。

相談時にそのまま使える質問メモ

  1. 歯ブラシを噛んでしまうのですが、今の対応方法は合っていますか?
  2. 開口器(バイトブロック)を使ってもいい状態か、判断してもらえますか?
  3. 脱感作の進め方を、一度実演してもらうことはできますか?
  4. 訪問歯科診療は、どのくらいの頻度で利用できますか?
  5. 歯や歯ぐきに痛みがありそうなのですが、診てもらう方法はありますか?

まとめ

状況対応
歯ブラシを強く噛んでしまう無理に引き抜かず、力が抜けるのを待つ
口に触れられること自体を嫌がる肩・頬・口角から段階的に慣れてもらう(脱感作)
歯ブラシの刺激が苦手ガーゼなど弱い刺激から始める、味付きペーストを試す
どうしても口が開かない開口器は最後の手段。歯科医師の指導のもとで使用する
家族

噛んでしまうのは体の自然な反応だと分かって、少し気が楽になりました。

編集部

はい。焦らず、本人のペースに合わせて少しずつ慣れてもらうことが、結果的に一番の近道になります。

出典・参考